・MET増幅のあるEGFR遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者を対象とした第1b相試験
・第3世代EGFR-TKIタグリッソ+MET阻害薬savolitinib併用療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は48~64%を示し、治療選択肢になり得る可能性が示唆された
2020年2月3日、医学誌『The Lancet Oncology』にてEGFR-TKI治療後に病勢進行したMET増幅のあるEGFR遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対する第3世代EGFR-TKIであるオシメルチニブ(商品名タグリッソ;以下タグリッソ)+MET阻害薬であるsavolitinib併用療法の有効性、安全性を検証した第1b相のTATTON試験(NCT02143466)の結果がMassachusetts General HospitalのLecia V Sequist氏らにより公表された。
TATTON試験とは、EGFR-TKI治療後に病勢進行したMET増幅のあるEGFR遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対して1日1回タグリッソ80mg+1日1回savolitinib 600mg併用療法を投与し、主要評価項目として有害事象(AE)発症率、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを検証した第1b相の多施設共同オープンラベル試験である。
なお、本試験には複数のコーホートがあり、コーホートB(N=144人)では第3世代EGFR-TKI治療歴のある患者、第3世代EGFR-TKI治療歴のないThr790Met変異陰性患者、Thr790Met変異陽性患者、コーホートD(N=42人)では第3世代EGFR-TKI治療歴のないThr790Met変異陰性患者が登録された。
本試験の結果、主要評価項目であるグレード3以上の有害事象(AE)発症率はコーホートBで57%(N=79/138人)、コーホートDで38%(N=16/42人)の患者で確認された。また、重篤な有害事象(SAE)発症率はコーホートBで45%(N=62人)、コーホートDで26%(N=11人)の患者で確認され、急性腎不全、原因不明により2人の患者が死亡した。副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はコーホートBで48%(95%信頼区間:39%-56%,N=66人)、コーホートDで64%(95%信頼区間:46%-79%,N=23人)を示した。
以上のTATTON試験の結果よりLecia V Sequist氏らは以下のように結論を述べている。”EGFR-TKI治療後に病勢進行したMET増幅のあるEGFR遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がん患者に対する第3世代EGFR-TKIであるタグリッソ+MET阻害薬savolitinib併用療法の抗腫瘍効果は良好であり、この治療方法は本患者の治療選択肢になり得る可能性が示唆されました。”