・EGFR-TKI治療歴のあるEGFR陽性非小細胞扁平上皮肺がん患者が対象の第3相試験
・sintilimab+ベバシズマブ+化学療法併用の有効性・安全性を比較検証
・無増悪生存期間は6.9ヶ月で、プラセボ+化学療法併用群の4.3ヶ月に対して統計学的有意に延長
2021年11月17日~21日、欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia Virtual Oncology)にてEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)治療歴のあるEGFR陽性非小細胞扁平上皮肺がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるsintilimab(シンチリマブ)+ベバシズマブ+ペメトレキセド+シスプラチン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のORIENT-31試験(NCT03802240)の初回解析の結果が公表された。
ORIENT-31試験とは、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)治療歴のあるEGFR陽性非小細胞扁平上皮肺がん患者に対してsintilimab+ベバシズマブ+ペメトレキセド+シスプラチン併用療法を実施する群、sintilimab+プラセボ+ペメトレキセド+シスプラチン併用療法を実施する群、プラセボ+プラセボ+ペメトレキセド+シスプラチン併用療法を実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)を比較検証した二重盲検下の第3相試験である。
本試験の初回解析の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、sintilimab+ベバシズマブ+ペメトレキセド+シスプラチン併用群で6.9ヶ月、sintilimab+ペメトレキセド+シスプラチン併用群で5.6ヶ月、ペメトレキセド+シスプラチン併用群で4.3ヶ月を示し、ペメトレキセド+シスプラチン併用群に比べてsintilimab+ベバシズマブ+ペメトレキセド+シスプラチン併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを25%統計学的有意に減少(HR:0.750、95%信頼区間:0.555–1.013、P=0.0584)を示した。なお、初回解析時点の本データは未成熟である。
また、ペメトレキセド+シスプラチン併用群に比べてsintilimab+ベバシズマブ+ペメトレキセド+シスプラチン併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを53.5%統計学的有意に減少(HR:0.464、95%信頼区間:0.337–0.639、P<0.0001)した。なお、P初回解析時点の本データはPFSと同じく未成熟である。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は、sintilimab+ベバシズマブ+ペメトレキセド+シスプラチン併用群で43.9%、sintilimab+ペメトレキセド+シスプラチン併用群で33.1%、ペメトレキセド+シスプラチン併用群で25.2%をそれぞれ示した。
一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率は、sintilimab+ベバシズマブ+ペメトレキセド+シスプラチン併用群で54.7%、sintilimab+ペメトレキセド+シスプラチン併用群で39.3%、ペメトレキセド+シスプラチン併用群で51.0%をそれぞれ示した。
以上のORIENT-31試験の初回解析の結果に対してAntonio Passaro氏は「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬治療歴のあるEGFR陽性非小細胞扁平上皮肺がんに対する現在の標準治療は化学療法です。しかしながら、この患者さんに対するアンメットメディカルニーズは存在し、新規の治療法の開発が必要になります。最近、他の抗PD-L1抗体薬アテゾリズマブが同じコンビネーション療法で臨床的ベネフィットを示しておりますが、その結果はサブグループ解析に基づくものであるため、本試験の成熟したデータでの結果に待望しております」と結論を述べている。