・未治療の進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者が対象の第3相試験
・オプジーボ+ヤーボイ併用、オプジーボ単剤の有効性・安全性をヤーボイ単剤と比較検証
・5年全生存率はオプジーボ+ヤーボイ併用群52%、オプジーボ単剤群44%、ヤーボイ単剤群26%を示した
2019年10月17日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて未治療の進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)+抗CTLA-4抗体薬であるイピリムマブ(商品名ヤーボイ;以下ヤーボイ)併用療法、オプジーボ単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCheckMate 067試験(NCT01844505)の5年長期投与成績の結果がThe Royal Marsden NHS Foundation Trust・James Larkin氏らにより公表された。
本試験は、未治療の進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者(N=945人)に対して3週を1サイクルとしてオプジーボ1mg/kg+ヤーボイ3mg/kg併用療法を4サイクル投与後、2週を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg単剤療法を投与する群(N=314人)、または2週を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg+プラセボ療法を投与する群(N=316人)、または3週を1サイクルとしてプラセボ+ヤーボイ3mg/kg療法を4サイクル投与する群(N=315人)に1対1対1対の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを比較検証した第3相試験である。
本試験が実施された背景として、未治療の進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対するオプジーボ+ヤーボイ併用療法、オプジーボ単剤療法はヤーボイ単剤療法に比べて無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を改善することが示されている。しかしながら、本治療が新規治療選択肢として位置づけられたのは最近であり、本治療を5年長期に渡り有効性、安全性を検証した試験は少ない。以上の背景より、CheckMate 067試験を5年長期に渡りフォローアップした試験が開始された。
本治療のフォローアップ期間中央値54.6ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はオプジーボ+ヤーボイ併用群60.0ヶ月(95%信頼区間:38.2ヶ月-未到達)、オプジーボ単剤群36.9ヶ月(95%信頼区間:28.2-58.7ヶ月)、ヤーボイ単剤群19.9ヶ月(95%信頼区間:16.8-24.6ヶ月)を示した。また、5年全生存率(OS)はオプジーボ+ヤーボイ併用群52%、オプジーボ単剤群44%、ヤーボイ単剤群26%を示した。
もう1つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はオプジーボ+ヤーボイ併用群11.5ヶ月(95%信頼区間:8.7-19.3ヶ月)、オプジーボ単剤群6.9ヶ月(95%信頼区間:5.1-10.2ヶ月)、ヤーボイ単剤群2.9ヶ月(95%信頼区間:2.8-3.2ヶ月)を示した。また、5年無増悪生存率(PFS)はオプジーボ+ヤーボイ併用群36%、オプジーボ単剤群29%、ヤーボイ単剤群8%を示した。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はオプジーボ+ヤーボイ併用群58%、オプジーボ単剤群45%、ヤーボイ単剤群19%を示した。また、完全奏効率(CR)はオプジーボ+ヤーボイ併用群22%、オプジーボ単剤群19%、ヤーボイ単剤群6%を示した。なお、5年奏効持続率(DOR)はオプジーボ+ヤーボイ併用群62%、オプジーボ単剤群61%、ヤーボイ単剤群40%を示した。
一方の安全性として、グレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ+ヤーボイ併用群59%、オプジーボ単剤群23%、ヤーボイ単剤群28%を示した。
以上のCheckMate 067試験の5年長期投与成績の結果よりThe Royal Marsden NHS Foundation Trust・James Larkin氏らは以下のように結論を述べている。”未治療の進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する抗PD-1抗体薬オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ併用療法、オプジーボ単剤療法はヤーボイ単剤療法に比べて5年全生存率(OS)、5年無増悪生存率(PFS)を改善しました。”