■この記事のポイント
・2月26日、厚生労働省は薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催して、抗がん剤4種の新規効能を了承
・進行非小細胞肺がんの第3世代チロシンキナーゼ阻害薬タグリッソ、ALK阻害薬ジカディア
・骨転移を有する去勢抵抗性前立腺がんの放射線医薬品ゾーフィゴ、再発または難治性の慢性リンパ性白血病イムブルビカ
・医薬品第二部会にて了承されたことにより、これらの薬剤は早ければ4月に薬価収載
2月26日、厚生労働省は薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催して、以下の新規効能を了承しました。
◆AZD9291、オシメルチニブ(商品名タグリッソ)
「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能・再発非小細胞肺がん」が効能・効果にて了承。待望のEGFR T790M変異陽性に対する治療薬が承認に1歩近づきました。本品目は優先審査品目に指定されていました。この薬剤は肺癌学会が早期承認要望書を提出している薬剤になります(コチラ)。
◆セリチニブ(ジカディア)
「クリゾチニブ(ザーコリ)に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果にて了承。希少疾病用医薬品に指定されています。第2世代ALK阻害薬となります。
◆塩化ラジウム〈223Ra〉(ゾーフィゴ静注;ゾフィーゴと読む場合も)
「骨転移のある去勢抵抗性前立腺がん」が効能・効果にて了承。放射線医薬品となります。
◆イブルチニブ(イムブルビカ)
「再発または難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能・効果を了承する。希少疾病用医薬品。ブルトン型チロシンキナーゼ活性を阻害し、B細胞性腫瘍の増殖を抑制することが期待されています。
その他、ニボルマブ(オプジーボ)が「ホジキンリンパ腫」の効能・効果で希少疾病用医薬品として指定。カペシタビン(ゼローダ)の「直腸がんにおける補助化学療法」の適応追加の公知申請可能と判断しました。
薬事・食品衛生審議会とは
厚生労働省に属する医薬品を承認する過程における審査機関となります。領域ごと一部会と二部会に分かれており、抗腫瘍薬は第二部会にて審議されます。この審議会で了承を得た医薬品等は、1~2カ月程度で厚生労働省より承認される可能性が高いです。よって、まだ正式に承認されているわけではありませんが、近いうちに承認されるであろうことが期待されます。
なお、今回の4剤は新規製剤となるため、薬価収載が必要となります。次の薬価収載を審議する中医協は4月開催となり、順調にいけば4月に薬価修正の可能性があります。それに間に合わないと次の中医協開催は5月となります。
記事:可知 健太