・ベネトクラスは、アポトーシスの過程を回復させるために BCL-2を標的とする経口薬で、再発/難治性のCLLおよびSLL患者さんに対して従来の殺細胞性の化学療法を含まない新たな治療選択肢
・ベネトクラスの有効性および安全性を評価した国内第Ⅰ/Ⅱ相試験および、MURANO 第Ⅲ相試験データに裏付けられた承認
・ MURANO 第Ⅲ相試験の結果では、24カ月の固定投与期間で優れた無増悪生存期間を示し、奏効率の高さとともに微小残存病変(MRD)陰性を達成
2019年9月20日、アッヴィ合同会社は、経口BCL-2阻害薬ベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ®、以下ベネクレクスタ)について、再発/難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫(SLL)治療薬として製造販売承認を取得したことを発表した。
ベネクレクスタはBCL-2と呼ばれる体内の特定タンパク質を標的とする経口BCL-2阻害剤で、がん細胞で失われてしまったアポトーシスというがん細胞の自然死または自己破壊の過程を回復させる作用がある1。
今回の承認は、国内第Ⅰ/Ⅱ相試験2および、21カ国、389人の再発/難治性CLL患者さんを対象としたMURANO第Ⅲ相臨床試験データに基づいている。本承認により、ベネクレクスタは再発 /難治性のCLLおよびSLL患者に対して、従来の殺細胞性の化学療法を含まない、新たな治療選択肢となる1。
CLLは一般的に緩徐な経過を示し、予後不良因子を有するCLL患者を除き、標準治療により初回奏効が高い割合で認められるが、その後の再発は避けられない3。後続の治療により奏効が導かれることもあるが、奏効率は順次低下し、奏効期間も短くなる。17 番染色体の短腕欠失(17p欠失)またはがん抑制遺伝子TP53に変異を持つCLL患者は予後不良であることが知られている4,5。
目次
MURANO試験
MURANO試験は多施設無作為化非盲検国際共同試験で、再発/難治性CLL患者において、ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)併用投与群と、標準治療のひとつである化学免疫療法のベンダムスチン塩酸塩とリツキシマブ(遺伝子組換え)併用群を比較している6。
主要評価項目である無増悪生存期間において、24カ月の固定投与期間終了後のベネトクラクスと リツキシマブ(遺伝子組換え)併用投与群のベンダムスチン塩酸塩とリツキシマブ(遺伝子組換え)併用群に対する優越性が検証され、層別ハザード比:0.17(95%Cl:0.11-0.25)との結果になった6。 有効性副次評価項目では、ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組み換え)併用投与群において全奏効率 92.3%を達成し、末梢血 MRD 陰性率62.4%を達成した6。 MRD 陰性(uMRD:undetectable)とは、治療終了後に血液または骨髄中に残るCLL細胞が白血球10,000個中1個未満と定義される客観的な指標である7。
ベネクレクスタについて
効能・効果
再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)
用法・用量
通常、成人にはベネトクラクスとして、用量漸増期は第1週目に20mg、第2週目に50mg、第3週目に100mg、第4週目に200mg、第5週目に400mgをそれぞれ1日1回、7日間食後に経口投与する。その後の維持投与期は、400mgを1日1 回、食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
重要な安全性情報
警告
腫瘍崩壊症候群があらわれることがあり、特に本剤投与開始及び増量後 1~2日に多く認められている。本剤の投与開始前及び休薬後の再開前に腫瘍量に基づく腫瘍崩壊症候群のリスク評価を行い、リスクに応じた予防措置を適切に行うこと。
禁忌
本剤の成分に対し過敏症の既往歴がある患者、用量漸増期における強いCYP3A4 阻害剤(リトナビル、クラリスロマイシン、イトコナゾール、ボリコナゾール、コビシスタット含有製剤を投与中の患者
副作用
重大な副作用として、腫瘍崩壊症候群(3.0%)、好中球減少(57.5%)、貧血(7.0%)、血小板減少 症(8.0%)、発熱性好中球減少症(3.5%)、肺炎(3.0%)、敗血症(0.5%)等があらわれることがある。
出典
1.[Venclexta (venetoclax) [Package Insert]. North Chicago, Ill.: AbbVie Inc.]
2.www.clinicaltrial.gov (NCT02265731)
3 jaglowski S, Jones JA. Choosing firs-line therapy for chronic lymphocytic leukemia. Expert Rev Anticancer Ther. 2011 Sep; 11(9): 1379-90
4. Stilgenbauer S and Zenz T. Understanding and managing ultrahigh-risk chronic lymphocytic leukemia. Hematology Am Soc Hemat Educ Program 2010; 481-8.>
5.Zenz T, Benner A, Doehner H, et al. Chronic lymphocytic leukemia and treatment resistance in cancer: the role of the p53 pathway. Cell Cycle 2008; 7(24):3810-4.
6.JF, Kipps TJ, Eichhorst B, et al. Venetoclax-rituximab in relapsed or refractory chronic lymphocytic leukemia. N Engl J Med. 2018;378(12):1107-1120.
7.Hallek M, et al. Guidelines for diagnosis, indications for treatment, response assessment and supportive management of chronic lymphocytic leukemia. Blood. 2018;131(25):2745-2760
参照元:アッヴィ合同会社プレスリリース
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