・未治療の進行性/転移性非扁平上皮非小細胞肺がん患者を対象とした第3相試験
・キイトルーダ+アリムタ+化学療法の有効性・安全性を患者報告アウトカムによって検証
・患者報告に基づいたがん患者のQOL評価方法であるQLQ-C30 GHS/QOLスコアを改善した
2020年2月6日、医学誌『The Lancet Oncology』にて未治療の進行性/転移性非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)+ペメトレキセド(商品名アリムタ;以下アリムタ)+化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のKEYNOTE-189試験(NCT02578680)における患者報告アウトカム(PRO)が Fondazione IRCCS Istituto Nazionale dei TumoriのMarina C Garassino氏らにより公表された。
KEYNOTE-189試験とは、未治療の進行性/転移性非扁平上皮非小細胞肺がん患者(N=614人)に対して3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+アリムタ500mg/m2+シスプラチン75mg/m2もしくはカルボプラチン5mg/ml併用療法を4サイクル投与後、3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+アリムタ500mg/m2併用療法を病勢進行するまで投与する群、または3週を1サイクルとしてプラセボ+アリムタ500mg/m2+シスプラチン75mg/m2もしくはカルボプラチン5mg/ml併用療法を4サイクル投与後、3週を1サイクルとしてプラセボ+アリムタ500mg/m2併用療法を病勢進行するまで投与する群に2対の1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、副次効果項目として全奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)などを比較検証した多施設共同二重盲検下プラセボ対照の第3相試験である。
KEYNOTE-189試験では、主要評価である全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目である全奏効率(ORR)において、キイトルーダ併用群で臨床的意義ある改善が示されている。今回は、患者報告アウトカム(PRO)として、患者報告に基づいたがん患者のQOL評価方法であるQLQ-C30 GHS/QOLスコアが検証された。
なお、QLQ-C30 GHS/QOLスコアとは0~100で表され、スコアが高ければGHS/QOLがより良い状態であることを示し、スコアが0であれば健康状態、QOLが非常に良くないことを示している。本試験では、治療開始をベースライン時点として治療開始12週後、21週後のGHS/QOLスコアの変化、ならびに咳、胸痛、呼吸困難等の症状悪化までの期間を検証している。
本試験の結果、治療開始12週時点のGHS/QOLスコアはキイトルーダ群でベースライン時点より+1.0pt(95%信頼区間:-1.3~3.2pt)に対してプラセボ群-2.6pt(95%信頼区間:-5.8~-0.5pt)、両郡間のGHS/QOLスコアの差は3.6pt(95%信頼区間:-0.1~7.2pt,P=0.053)を示した。
治療開始21週時点のGHS/QOLスコアはキイトルーダ群でベースライン時点より+1.3pt(95%信頼区間:-1.2~3.6pt)に対してプラセボ群-4.0pt(95%信頼区間:-7.7~-0.3pt)、両郡間のGHS/QOLスコアの差は5.3pt(95%信頼区間:1.1~9.5pt,P=0.014)を示した。
また、咳、胸痛、呼吸困難等の症状悪化までの期間中央値は、キイトルーダ群で未到達(95%信頼区間:10.2ヶ月~未到達)に対してプラセボ群で7.0ヶ月(95%信頼区間:4.8ヶ月~未到達)、キイトルーダ群で咳、胸痛、呼吸困難等の症状悪化のリスクを19%減少(HR:0.81,95%信頼区間:0.60-1.09,P=0.16)した。
以上のKEYNOTE-189試験における患者報告アウトカム(PRO)の結果よりMarina C Garassino氏らは以下のように結論を述べている。”未治療の進行性/転移性非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対するキイトルーダ+アリムタ+化学療法は、プラセボ療法に比べてQLQ-C30 GHS/QOLスコアを改善しました。”
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