オンコロの中島です。
今回のコラムは、がんの疼痛についてお話ししたいと思います。
がん疼痛とは、がんの患者さんに生じる痛みのすべてを含み、
・がん自体(腫瘍の浸潤や増大、転移など)が直接の原因となる痛み
・がん治療に伴って生じる痛み
(術後痛や術後の慢性疼痛、化学療法による神経障害に伴う疼痛など)
・がんに関連した痛み(長期臥床(がしょう/とこについて寝ること))に伴う腰痛、リンパ浮腫、褥創(じょくそう/床ずれの状態)など)
・がん患者さんに併発したがんに関連しない疾患による痛み(変形性脊椎症、片頭痛など)
の4種類に分類されます。(厚生労働省ホームページより)
がん種や患者さんにとってその症状もさまざまに生じ、近い症例としては、乳がん患者さんは術後のリンパ浮腫をよく耳にします。
がんはある程度進むと痛みが発生し、末期には約7割の患者さんが主なる症状として痛みを体験し、その約8割は激痛であると言われています。
これらの痛みに対して、はじめは麻薬でない鎮痛剤や鎮痛補助剤で効果が得られますが、多くの場合、病状の進展と共に痛みのコントロールが難しくなっていきます。
このような場合、モルヒネ等の医療用麻薬が使用されたり、放射線療法や抗がん剤療法が行われたり、神経ブロックが行われます。
私は、術後の慢性疼痛で月に1回、ペイン科へ通院しています。
術後、しばらくは「手術したばかりだし仕方がないだろう」と、痛みを我慢していました。
その期待とは裏腹に、その苦痛は一向に取れず、以前からその痛みを話してはいた乳腺外科の主治医に、「院内のペイン科に予約を入れてほしい」旨、自分から頼みこみました。
ペイン科の主治医ともずいぶんと長いお付き合いになっています。
「最大の痛みが10とすると自分の痛みはいくつか」など、症状を時間をかけて話を聞いてくださり、自分の受診日までの近況の症状に合わせ治療内容を変更したり、お薬の調整をしてくださいます。
自分の苦痛に寄り添って診察してくださることは、精神的な苦痛はその時間だけでも和らぐことが助かっています。
ペイン科の主治医は緩和医でもあり、時間を長く取ってくださり、患者の話しをよく聴いてくださいます。
「緩和」ケアは、末期状態に受ける診察とお考えのかたがいらっしゃるかもしれませんが、がんと診断されたときから行う、身体的・精神的な苦痛をやわらげるためのケアです。診断後から、受けられる治療になります。
術後、疼痛を抱えないに越した事はありませんが、術前の身体とは違う不都合な思いをされている患者さんは多いのではないでしょうか。
我慢する時間を、まず話しを聞いていただける窓口に相談されることをお勧めします。
がん診療拠点病院であれば、がん相談支援センターがよいでしょう。
主治医や看護師さんも、相談にのってくださるはずです。
術前、術後にかかわず、医療従事者の助言や協力を仰いで、ご自身でQOLの向上の工夫を考えていきましょう。
ペインクリニックがある一部の病院は、こちらのサイトで、閲覧することができます。
中島 香織