島津製作所と国立がん研究センターが光免疫療法について新たな共同研究契約を締結
光免疫療法に関する計測技術の臨床応用に向けた研究を共同で実施する
患部の状態の可視化や記録の実現・治療評価技術の確立を目指す
4月16日、株式会社島津製作所は国立研究開発法人国立がん研究センター(以下、国立がん研究センター)と光免疫療法に関する計測技術の臨床応用に向けた新たな共同研究契約を締結したことを発表した。4月1日より同センター東病院(以下、東病院)の次世代外科・内視鏡治療開発センター(通称:NEXT)内視鏡機器開発室に開発拠点を設置し、光免疫療法に関する計測技術の臨床応用に向けた研究を共同で実施するという。
島津製作所と東病院ならびに国立がん研究センター先端医療開発センター(以下、EPOC)は、2019年3月から「近赤外光カメラシステム」と「質量分析装置」を活用した光免疫療法の非臨床試験をEPOCで行っていた。同試験では、治療部位の可視化や記録ができる可能性について、前向きな結果が得られている。
今後の共同研究では、EPOCで実施してきた非臨床試験で得られた知見や、東病院の光免疫療法における豊富な臨床経験および島津製作所の技術を活用し、「患部の状態の可視化や記録」の実現・治療評価技術の確立を目指すという。
島津製作所の総合デザインセンター課長の石川亮宏氏はプレスリリースで「光免疫療法の臨床経験が豊富な国立がん研究センターとの新たな共同研究により、現場のニーズに応じた計測技術を実用化し、同療法の早期実現と普及への貢献を目指しています」と述べている。また、国立がん研究センター東病院の消化管内視鏡科長である矢野友規氏は「光免疫療法の基礎研究実績が豊富で高い技術力を有する島津製作所と院内での共同研究を行うことで、我々の臨床ニーズを満たす機器開発が出来ることを期待しています」と述べている。
光免疫療法とは
光免疫療法は、米国国立がん研究所所属の小林久隆主任研究員が開発した、がん細胞を狙い撃ちし、短時間で破壊する手法。がん細胞に特異的に結合する抗体に光感受性物質を結合した複合体薬剤を使用し、非熱性赤色光の照射により光化学反応を起こす。島津製作所と米国国立がん研究所は、動物実験で赤色光照射後の複合薬剤の変形や凝集する様子の画像化に成功。同治療法のメカニズムを明らかにしていた。(Sato K, Kobayashi H, et al. ACS Cent Sci. 2018 Nov 28;4(11):1559-1569)
参照:
島津製作所 プレスリリース
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