3月23日、米インサイト・コーポレーションは、選択的のペマジール(一般名:ペミガチニブ)に関して、がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がんの治療薬として、日本において厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表した。
ペマジールはFGFRアイソフォーム1/2/3に対する強力かつ選択的な経口キナーゼ阻害剤。米国では迅速承認制度の適用を受け、2020年4月に承認を取得している。日本においても、希少疾患用治療薬を優先的に審査し、臨床で活用されるための「希少疾病用医薬品」の指定を受けていた。
今回の承認は、FGF/FGFRを有し、治療歴のある局所進行性/転移性の成人胆管がん患者を対象にペミガチニブの安全性と有効性を評価したFIGHT-202試験(NCT02924376)の結果に基づくもの。同試験は3つのコホートで構成され、全例に21日1サイクルとしてペマジール13.5mgを経口投与し、全奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)などで評価した。なお、3つのコホートの詳細は、FGFR2融合遺伝子または遺伝子再 構成を認める例(コホートA)、その他のFGF/FGFR遺伝的変異を認める例(コホートB)、FGF/ FGFRの遺伝的変異を認めない例(コホートC)である。同試験の結果、コホートAの全奏効率は35.5%であり、奏効期間は7.49ヶ月を示した。
インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社ジェネラルマネージャーのローター・フィンケ氏は、「このたびの厚生労働省によるペマジールの国内製造販売承認は、日本の胆道がんコミュニティーにとって重要なマイルストーンとなるでしょう。胆道がんは、重い病態を有する希少疾患です。患者さんのアンメットメディカルニーズにソリューションを見つけ出して提供することに注力してきた当社のコミットメントを、ひとつ具現化することができました。今回日本でも当局による薬事承認が得られ、この新たな治療薬を、世界中のより多くの患者さんにお届けできるようになったことを誇りに思います」と述べている。
胆道がんとは
FGFR2融合遺伝子または遺伝子再構成胆道がんは肝臓内の胆管がんに限定的に発生する。胆管がんは胆管に発症する希少ながん。肝臓内の胆管に発生する肝内胆管がんと肝臓外の胆管に発生する肝外胆管がんに分かれる。胆管がんは診断時にすでに進行期もしくは末期であることが多く、予後不良である。
FIGHT臨床試験プログラム(FIbroblast Growth factor receptor in oncology and Hematology Trials)とは
腫瘍と血液疾患の分野における線維芽細胞増殖因子受容体に関する臨床試験であり、FGFR に起因する複数種類の悪性腫瘍を対象にペミガチニブの安全性と有効性を検討している。現在第2相および第3相試験を実施中であり、対象疾患は膀胱がん、骨髄増殖性腫瘍、固形がんなど多岐にわたる。FGFR2融合遺伝子、遺伝子再構成を有する胆管がん患者を対象に、ファーストラインとしてのペミガチニブを評価す第3相FIGHT-302試験も実施されている。
参照元:
インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同株式会社 プレスリリース
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