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肝臓がん 免疫チェックポイント阻害薬オプジーボが有望である可能性 ASCO2015

  • [公開日]2015.06.01
  • [最終更新日]2017.11.13[タグの追加] 2017/11/13

5月29日~6月2日にシカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO:あすこ)のAnnual Meeting(年次会議)にて、「免疫チェックポイント阻害薬である抗‐PD-1抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)が進行肝細胞がんに有望である可能性」が、University of Southern California Norris Comprehensive Cancer Center(南カリフォルニア大学ノリスがんセンター)のAnthony B. El-Khoueiry氏によって発表されました。

この試験は、「ソラフェニブ(商品名:ネクサバール)を使用したにもかかわらず、病態が進行してしまったり、副作用等で使用ができなくなった肝細胞がん患者」や「ソラフェニブの使用を拒否した患者」にニボルマブを2週間おきに使用する第1/2臨床試験です。

今回、中間解析(2015年3月12日時点での解析結果)として、47人の結果が発表され、ウイルス非感染の患者が24人、C型肝炎感染患者が12人、B型肝炎感染患者が11人でした。肝外転移が70%の患者に存在し、ソラフェニブの投与経験があったのは68%でした。

中間解析時点で47人中17人が治療継続中であり、26人はがんが進行してしまい中止、2人は副作用のために中止となりました。しかし、評価が可能であった42人のうち8人(9%)に奏効(腫瘍縮小効果)が認められ、2人は完全奏効(腫瘍が完全に消失)を示していました。なお、治療12か月の生存率は62%であり、ソラフェニブ使用時の生存期間の中央値が10~11か月であることを考慮すると有用である可能性があるようです。また、ウイルス性肝炎の感染状態に関係なく有効である可能性を示唆していました。

安全性について、ニボルマブの副作用は、グレード3(中等度~重度)が8件(17%)、グレード4(重度)が1件(2%)で忍容性があると判断されています。多く認められた副作用は肝機能上昇などです。

El-Khoueiry氏は「小規模な試験結果ではあるものの、進行肝臓がん患者へのニボルマブや他の免疫療法の研究のためのエキサイティング且つ強力な正当性を提示している」と述べています。

参照
The ASCO POST(英語)
ASCO2015 Abstract(英語)
この試験の情報:Clinical trials.gov(英語)
*わかりやすくするために漸増試験および投与量や各コホート等については言及していません。
カチ

【免疫チェックポイント阻害薬とは?】
免疫システムが暴走を防ぐために抑制するタンパク質が免疫系の細胞に発現して制御します。これを免疫チェックポイントといいます。がん細胞にもこのタンパク質が発現するためにがん細胞に対する免疫システムが機能しなくなります。免疫チェックポイント阻害薬はこの制御機能を抑制するため、がんに対する免疫システムを作動させることが期待できます。

免疫チェックポイント阻害薬

【ASCO(あすこ)とは?】
American Society of Clinical Oncology(米国臨床腫瘍学会)の略称で、世界最大のがん学会となります。年に1回開かれるこの会議では、世界中から約25,000人ものオンコロ ジストが参加され、5000以上にのぼる研究結果が発表されます。

 

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