2018年3月30日、MSD株式会社は、「局所進行性又は転移性の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)がん」 に対する効能・効果について、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)の製造販売承認事項一部変更承認申請を行った。
高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)とは、傷ついた遺伝子の修復機能異常を示すバイオマーカーである。細胞は、細胞分裂にともなう遺伝情報の複製においてDNAの複製ミスが発生した場合、修復機構が働いてそのミスを修復している。この修復機構の機能低下によって、DNAの繰り返し配列(マイクロサテライト)が正常な細胞と異なる状態になっていることをマイクロサテライト不安定性(MSI)と呼ぶ。
MSI-Highを示す腫瘍は、大腸がん、胃がんや膵臓がんなどの消化器系のがん、子宮内膜がんでよくみられるが、最も多い転移性大腸がんでも約3~5%程度である稀な遺伝子異常だ。また、頻度は低いものの乳がん、前立腺がん、膀胱がん、甲状腺がん等でもみられる。
なお、今回の申請はがん種を超えており、国内初の画期的なことである。
しかしながら、米国では2017年5月23日となる。
FDA(米国)初、キイトルーダがMSI-HまたはdMMRを有する固形がん対象に承認 ~5つの臨床試験データより~
MSD株式会社が、条件付き早期承認制度を活用して、PMDAと「医薬品条件付き早期承認品目該当性相談」を行った後に申請された可能性はあるが、1年以上のドラッグラグは確定的であろう。
今まで、MSD株式会社は拡大治験に取り組んでいないが、今こそ拡大治験を検討するべきではないかと期待する。
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