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HER2陽性乳がん患者 ナブパクリタキセルとトラスツズマブによる術前化学療法の第2相試験

  • [公開日]2016.02.24
  • [最終更新日]2016.09.05

目次

ポイント

本試験は、HER2陽性、エストロゲン受容体陰性の乳がん患者に対して術前化学療法としてアブラキサンとハーセプチンの安全性と効果を確認する第2相臨床試験です。

<一般的な説明>

試験概要

この試験の目的は、HER2陽性、エストロゲン受容体陰性の乳がん患者に対して、術前化学療法(術前に抗がん剤を使用して腫瘍を小さくしてから手術に臨む治療法)としてナブパクリタキセル(アブラキサン)とトラスツズマブ(ハーセプチン)の安全性と効果を評価することです。

治験薬剤の説明

トラスツズマブ(ハーセプチン)は、腫瘍上のHER2というタンパク質に結合する抗体です。HER2にあるタンパク質が結合すると、細胞増殖などのがん化作用を有します。よって、ハーセプチンがHER2が結合することにより、通常のタンパク質が結合できず、腫瘍の増殖を抑えることが出来ます。

がん細胞は通常の細胞に比べて異常に速く分裂・増殖をします。細胞の分裂にはDNAの複製が必要になりますが、この際に、微小管と呼ばれる細胞内の器官が重要な役割を持っています。パクリタキセルは、この微小管の働きを阻害する作用を持つため、細胞の分裂を抑えることができます。これによって、がん細胞の細胞分裂を停止させて細胞死を誘導する ことができ、抗がん作用が期待できます。パクリタキセルはアルコールにしか溶けないという点が欠点ですが、それを克服した薬剤がナブパクリタキセル(アブラキサン)といいます。

主な参加条件等

この試験の対象となりうる方

  1. 20歳以上の方
  2. 浸潤性乳がんと診断された方
  3. 腫瘍の大きさが3cm以内の方
  4. ホルモン受容体が陰性、HER2が陽性の方
  5. 過去に乳がんに対する治療を受けていない方
  6. パフォーマンスステータスが0~1の方

この試験の対象とならない方

  1. 当該薬剤に対する過剰な反応を起こしたことのある方
  2. 両側に浸潤性乳がんをお持ちの方
  3. 臨床的に重要な疾患をお持ちの方

臨床試験公開情報

JAPIC No : –
ClinicalTrials.gov Identifier : NCT02598310 (最終更新日2015/11/4)詳細はコチラ

Neoadjuvant Nab-PTX and Trastuzumab for ER Negative and HER2 Positive Breast Cancer(エストロゲン受容体陰性、HER2陽性乳がん患者に対するナブパクリタキセルとトラスツズマブによる術前化学療法の評価)

対象がん種 乳がん
フェーズ P2
実施期間 2015年11月~2020年10月
実施国 日本(大阪医科大)
目標症例 30
状況 募集中
手法 オープンラベル
被験薬名 一般名:ナブパクリタキセル (商品名:アブラキサン) 、一般名:トラスツズマブ (商品名:ハーセプチン)
種類 微小管脱重合阻害薬、HER二量体化阻害ヒト化モノクローナル抗体
投与経路 静脈注射

<専門的な説明>

試験概要

The purpose of this study is to evaluate the efficacy and safety of nab-PTX and trastuzumab for ER negative and HER2 positive operable (tumor size of 3cm or less and N0) breast cancer. (ClinicalTrials.gov)

治験薬剤の説明

アブラキサン®点滴静注用100mg(以下、本剤)は、人血清アルブミンにパクリタキセルを結合させナノ粒子化したパクリタキセル製剤です。
本剤の有効成分であるパクリタキセルは、微小管蛋白重合を促進し脱重合を防ぐことで抗腫瘍効果を発揮するタキサン系薬剤です。
(大鵬薬品HPより: http://abraxane.jp/about/

ハーセプチンは、がん細胞がえさを取り込むための「手」を抑える「手錠」のような働きをする薬です。がん細胞は、手に手錠をかけられるため、増殖に必要なえさを取り込むことができなくなり、兵糧攻めにあう形で抑えられることになります。
これまでがんの治療に多く用いられてきた抗がん剤は、がん細胞全体を攻撃するものでしたが、ハーセプチンはがん細胞の特定の場所(HER2タンパク)をねらって攻撃するので、これまでの抗がん剤とはまったく違うしくみでがん細胞を殺したり、増殖を抑える薬といえます。
(中外製薬HPより: http://chugai-pharm.jp/hc/ss/pa/sf/her/brs/cnt/abt2/01_001.html

注意

・試験タイトルに英語記載がある場合、JAPIC等の日本語公開情報に掲載がないことを意味します。
・試験概要の「専門的な説明」は、JAPICやUMINに情報がある場合はそこから、ない場合はClinidcaltrials.govから転記しています。
・薬剤の「専門的な説明」は、開発企業に情報がある場合はそこから、ない場合はNCI(National Cancer Institute)から転記しています。
・専門的な記載を一般の方がわかるよう記載していますが、当社の認識が誤っていることがありますので、必ず実際の公開情報を確かめてください。
・実施医療機関は明記できませんが、実際の公開情報に明記されている場合があります。
・主な参加条件には記載された基準以外にも多くの基準があります。

臨床試験(治験)とは

・当サイトは積極的に日本で実施されている臨床試験情報(治験)を紹介していますが、臨床試験は効果や安全性を確認することが主たる目的となる場合が多く、確立されている治療法を示しているものではありません。参加を検討する際には、臨床試験のリスクとベネフィットをよく理解してください。宜しければ、「もっと知ってほしい薬の開発と臨床試験のこと」をご参照ください。
・その他、「臨床試験記載のルールについて」をご確認ください。

初回作成:川村 千恵

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