・未治療腎細胞がん患者対象、CABOMETYX+テセントリク有効性・安全性を検証
・全患者群の客観的奏効率は67%、用量制限毒性・重篤な有害事象は本試験では確認されず
・良好な忍容性と、十分な抗腫瘍効果が示された
2018年10月19日~23日までドイツ・ミュンヘンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)にて未治療の進行性腎細胞がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるカボザンチニブ(商品名CABOMETYX)+抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)併用療法の安全性、有効性を検証した第Ib相のCOSMIC-021試験(NCT03170960)の結果が公表された。
COSMIC-021試験とは、未治療の進行性腎細胞がん患者(N=12人;淡明細胞型腎細胞10人,その他2人)に対して1日1回カボザンニチブ40~60mg+3週間に1回テセントリク1200mg併用療法を投与し、主要評価項目として第II相推奨用量(RPIID)、最大耐量(MTD)、客観的奏効率(ORR)などを検証した第Ib相試験である。
本試験のフォローアップ期間33.4週時点における結果は下記の通りである。全患者群における客観的奏効率(ORR)は67%、淡明細胞型腎細胞患者群では80%を示した。また、全患者群における病勢コントロール率(DCR)は100%を示した。
一方の安全性として、用量制限毒性(DLT)、重篤な有害事象(SAE)を発症した患者は本試験で確認されなかった。また、カボザンニチブ40mg群におけるグレード3の治療関連有害事象(TRAE)発症率は83%で、その内訳は高血圧50%、低血糖17%、高血糖17%、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ増加17%、筋肉衰弱17%。
カボザンニチブ60mg群におけるグレード3の治療関連有害事象(TRAE)発症率は100%で、下痢33%、高血圧33%、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加17%、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加17%、リンパ球減少症17%、低リン酸血症17%、リパーゼ増加17%。以上の結果より、主要評価項目である第II相推奨用量(RPIID)はカボザンニチブ40mg+テセントリク1200mgに決定された。
以上のCOSMIC-021試験の結果より、City of Hope・Sumanta Kumar Pal氏は次のようなコメントを述べている。”進行性腎細胞がん患者さんに対するカボザンニチブ+テセントリク併用療法は忍容性が良好であり、抗腫瘍効果も十分な結果でした。腎細胞がん以外のがん種においてもこの併用療法の有効性を示すことができることを我々は楽しみしております。”
リサーチのお願い
この記事に利益相反はありません。