BRAF遺伝子変異は、細胞増殖の指令の伝達に関わるBRAF遺伝子の異常です。BRAFの600番目のアミノ酸はバリン(V)と呼ばれる必須アミノ酸ですが、これが変異によってグルタミン酸(E)に変わると、増殖しろという命令が出し続けられ、がんが無秩序に増殖し続けます。
BRAF阻害薬はこのV600E変異によるがんの増殖を抑える薬です。BRAF阻害薬を単独で投与した場合、その下にある細胞分裂に関わるMEK遺伝子が上流のRAS遺伝子などの機能を抑えていることまで障害されるため、かえってがんが大きくなったり、別のがんが生じたりしやすいことがわかっています。MEK阻害薬を併用するとそういった弊害が抑えられるため、非扁平上皮がんでBRAFV600遺伝子変異陽性の人の薬物療法は、BRAF阻害薬とMEK阻害薬の併用療法が第一選択になります。
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