オンコロ中島です。
先日、がんの術後1カ月経たない友人と会う機会がありました。
まだ身体の動きが術前のように戻っていない状態だったので、都内のヘルプマークの配布所へ一緒に取りにうかがいました。
ヘルプマークとは、援助や配慮を必要としている方々が、そのことを周囲の方に知らせることができるタグ形式のマークです。
現在、1都1道2府35県の配布場所において無料で配布されています。
自分自身も術側の腕が挙がりにくいことから、友人の分と合わせて2ついただくことにしました。
対応してくださった窓口の方は、すぐに2つ手渡してくださいました。
ここで不思議に思ったこと。
「ヘルプマークが必要な理由は聞かないの?」。
後で調べたところ、東京都では必要な都民の方々が円滑にマークを活用することができることに配慮し、特に書類等の提示は必要なく、お申し出に対しお渡しすることとしているそうです。
医療保険金を申請する場合、主治医からの診断書等の提出が必須で、かつ保険会社への申請書類も複雑です。
無料の配布はとてもありがたいことですが、手続きにかかる時間や申請の差に少し驚きました。
いただいて初めて手に取ってわかったことですが、ヘルプカードは表と裏の間は分かれておらず、スーツケースのタグのように内側に紙を挟むスペースはありません。
ヘルプマークをつけた人が救急で搬送された時、医療者サイドには病状がすぐにはわからない盲点を感じました。
私は通常の生活に大きな支障はありませんが、術側の手を圧迫してはいけない、重い荷物を持ってはいけない、などの注意を主治医より指導されており、かつ電車で術側の手でつり革を握る力がないために、車内での立ち位置によっては、足で踏ん張る状態で乗車しています。
仕事で遅い帰宅となった日に、5回ほどヘルプマークを鞄につけて乗車してみました。
優先席の若いかたが座っている前に乗車してみましたが、結果は席を譲ってくださった方はお一人だけでした。ご夫婦で優先席に座られており、奥様はマタニティマークを鞄につけていらっしゃいました。私のヘルプマークを見て、ご夫婦お互いに目を合わせ、ご主人が譲ってくださいました。お二人ともヘルプマークの意味を理解されていたのでしょう。
譲ってくださらなかったケースは、スマホを見ている、または寝ている状態の方々でしたが、ヘルプマークの意味を知らなかったとも考えられます。
現在では各地の在来線優先席付近の窓に、ヘルプマークのステッカーを掲出している車両が増え、啓発に取り組んでいますが、前述の友人も「見たことがあるような気もするけれど、知らない」の言葉の通り、まだ普及には時間がかかると理解しています。
国ではなく、各市町村レベルでの取り組みが関係しているのかもしれません。
過去、ぎっくり腰のために杖を使って通勤していた時期がありました。その時は、必ずといっていいほど席を譲っていただいていました。それは「杖」という、障害を抱えた視覚の功を奏したのでしょう。
義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方など、外見ではわからない障害を抱えた方々は、想像よりはるかに多い人数のはずです。
配布状況、普及啓発状況は、確実に全国に広がっています。
2020年の東京オリンピックにむけて、英語表記での中吊りも準備が進められています。
周囲から配慮を必要としている「ヘルプ」のサインが、ひとりでも多くのお心遣いにより、
マークへの理解と行動に繋がることを、願っています。
ヘルプマークwebサイト
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/helpmarkforcompany/
*緊急連絡先や必要な支援内容などの記載が可能な「ヘルプカード」を携帯すると便利です。
ヘルプカードWebサイト
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/card.html
中島 香織
この記事に利益相反はありません。