オンコロの中島です。
非常事態宣言が再発令され、オフィスがある東京でも、ここ数日は感染患者さんの人数が1,000人以下に抑えられています。
リモートワーク(在宅勤務)の生活が中心になっているかたも多いと思います。
どうしても自宅ではなくオフィスで業務しなければならない日もあり、私は週に1~2日は出社している状況にあります。
街中は人が少なくなった感がありますが、電車は新型コロナウイルスが流行る前と同様、とても混んでいます。
1回目の非常事態宣言が発令された直後はずいぶんと空いていましたが、現在は、往復とも以前と変わらぬ混雑です。
もう10年ほど前になりますが、ぎっくり腰で歩行が困難だった時期、杖をついて通勤していたことがありました。
平日は混雑する路線を利用していましたが、杖をつく姿を見て、ほぼ毎回すぐ座席をお譲りくださるかたばかりの機会に恵まれていました。
日本人の優しさの心に感謝しながら、ぎっくり腰ものちに治癒することができました。
がんに罹患した身の現在、寒い時期や気圧が低い時は、特に術側の痛みが強く出るため、どうしてもオフィスに出向かなければいけない日は、カバンにヘルプマークをつけて通勤していますが、車内はあまりにも混雑しているため、優先席にたどり着くことができないことも多々あります。
優先席まで詰められたとしても、座席が空いていることはほぼありません。
ヘルプマークはまだ認知度が低いのか、あるいは気が付いてもらえないのか、たいていはスマホをみている若いかた、居眠りされているサラリーマン風の男性に座られていることが多く、ヘルプマークに気が付いて座席を譲ってくださったかたは、今まで2回しか記憶がありません。
ヘルプマークは以前のコラムでも触れたテーマですが、「援助や配慮を必要としていることが外見からは分からないかたが、周囲のかたに配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくするためのマーク」であり、平成24年に東京都が作成したことが始まりです。
現在では全国に普及の輪が広がり、以前まで都内では配布場所が限られていましたが、最近、自分の住んでいる自治体でも配布が始まっています。
がんに罹患すると、「手術」や「抗がん剤治療」を受けられた患者さんが多く、車内では外見でわかりづらい痛みや倦怠感を抱えた人が、その体調により立ったまま電車の揺れに耐えることが厳しい現実があります。
「勇気を出してヘルプマークを初めてつけた日、ドキドキしながら外出したがバスに乗っても、スーパーでも誰ひとり気にかけてもらえなかった」、「ヘルプマークをつけて数年たちますが、心無い言葉を含め、まだ一度も声をかけられたことがない。誤解や偏見の裏にある情報不足の解消が、今後の制度浸透の課題。」といった意見を、3年前付のネット記事で目にしたことがあります。
この記事の時点から少しは認知されていると信じたいですが、やはりつけて外出することは、「そんなの持って。同情されたいの?」という印象を与えそうで、少し勇気のいることでもあったりします。
近い将来には、ギックリ腰の杖の存在のような、一目で理解が得られるマークになることを願っています。
私は日本人の生まれ持った「優しさ」を信じています。
中島 香織