切除不能胃がんの3次治療以降TAS-102(ロンサーフ錠)日本人の効果 #LBA25
10月19日から23日までドイツ・ミュンヘンで開催されているESMO2018でロンサーフ+支持療法を行った群とプラセボ+支持療法を行った群を比較した多施設無作為化二重盲検プラセボ対照フェーズ3試験TAGSのサブグループ解析の結果が発表された。
ロンサーフは有効成分としてトリフルリジン(FTD)とチピラシル塩酸塩(TPI)を1:0.5のモル比で配合した経口ヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤。
トリフルリジンはロンサーフの抗腫瘍活性成分で、経口投与することで直接DNAに取り込まれてDNA機能障害を起こすことで抗腫瘍効果を示すとされている。またチピラシルはトリフルリジンの分解酵素であるチミジンホスホリラーゼを特異的に阻害することにより、トリフルリジンの全身循環系への移行率を高める。
TAGS試験は、前治療歴数が2以上(フルオロピリミジン、白金系抗がん剤、タキサン、イリノテカン、HER2陽性の場合HER2阻害薬)でパフォーマンスステータスが0または1の進行・再発胃がん患者を、ロンサーフ投与(28日間を1サイクルとして1日目から5日目、8日目から12日目まで1日2回35mg/㎡)と支持療法を行う群(ロンサーフ群)と、プラセボ投与と支持療法を行う群(プラセボ群)に無作為に2対1に割り付けて行われた。
患者はパフォーマンスステータス(0と1)、地域(日本とその他の地域、ラムシルマブ治療歴有りと無し)で層別化されていた。
服用は病勢増悪、許容できない副作用の発現、患者同意の撤回のいずれかが起こるまで行われた。
臨床試験への患者登録は2016年2月から2018年1月まで、18カ国110施設で患者登録が行われ、今回の発表された試験結果のデータは2018年3月31日時点のもの。ロンサーフ群に337人が登録、335人に投与。プラセボ群は170人が登録、168人に投与。
主要評価項目は全生存期間。副次評価項目は無増悪生存期間と安全性で、その他の副次評価項目は、奏効率、病勢制御率、QOL、パフォーマンスステータスが低下し2以上になるまでの時間。
TAGS試験全体の全生存期間と無増悪生存期間の結果は既に発表されている。
全生存期間中央値はロンサーフ群5.7カ月、プラセボ群3.6カ月で、31%死亡リスクを有意に減少させた(ハザード比=0.69)。
12カ月全生存率はロンサーフ群21%、プラセボ群が13%。
今回はさらに詳細なデータが発表された。
全生存期間のサブグループ解析結果が発表され、米国、欧州、日本のいずれの地域でもロンサーフ群が優れ、多くのサブグループでも同様であった。
解析の結果、パフォーマンスステータス(0か1)、年齢(65歳未満か65歳以上)、前治療レジメン数(2か3以上)、転移部位数(1、2個か3個以上)、HER2の状態(陰性か陽性または不明)が予後因子として選択されたが、これらの因子を調整しても、31%死亡リスクを有意に減少させ(ハザード比=0.69)、ロンサーフ群の有効性が保たれていた。
無増悪生存期間中央値はロンサーフ群2.0カ月、プラセボ群1.8カ月、病勢進行または死亡リスクを43%有意に減少させた(ハザード比=0.57)。
6カ月無増悪生存率はロンサーフ群15%、プラセボ群6%。無増悪生存期間のサブグループ解析は全てのグループでFロンサーフ群が優れていた。
腫瘍効果は、ロンサーフ群(290人)で完全奏効1人、部分奏効12人(4%)、病勢安定が115人(40%)、プラセボ群(145人)では完全奏効は0人、部分奏効3人(2%)、病勢安定18人(12)。
従って奏効率はロンサーフ群4%、プラセボ群2%。
病勢制御率はロンサーフ44%、プラセボ群14%で、有意差が30%あった。
副次評価項目の1つであるパフォーマンスステータスが低下し2以上になるまでの時間も発表された。
中央値はロンサーフ群4.3カ月、プラセボ群2.3カ月、低下するまでの時間を31%有意に延長させた(ハザード比=0.69)。
切除不能胃がんの3次治療以降でのロンサーフの有効性は日本人でも確認された。
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