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慢性リンパ性白血病(CLL)の検査・診断について

  • [公開日]2018.06.30
  • [最終更新日]2019.01.08

目次

慢性リンパ性白血病(CLL)の鑑別診断

診断を行い、治療方針を決めるためには、さまざまな検査が行われます。検査は診断だけでなく、病型や病期分類の決定、発症に伴うさまざまな異常や合併症の有無を確認する目的もあるため大変重要です。

末梢血塗抹標本で単一の小型円形、あるいは軽度異型を示すB細胞が多数発見されます。フローサイトメトリ―という手法で腫瘍細胞表面に出現するCLLのマーカーを確認するとともに、血液細胞の免疫染色による病理組織診断により鑑別します。

具体的には、末梢血中の単クローンB細胞が1マイクロリットル当たり5000個以上存在する状態が3カ月以上持続し、CD5分子とCD23分子を共発現しているのがCLLの腫瘍細胞の特徴です。さらに、免疫染色の所見が似ている他のB細胞リンパ腫とは分子生物学的解析も含めて鑑別することが必要になります。

具体的な検査方法

・血液検査
血液中で増加している細胞を顕微鏡で調べる。血液中の白血球の数が増加し、さらに白血球の中のリンパ球の数が5,000/μL以上であれば、CLLが疑われる。さらにリンパ球の表面にあるタンパクなどを調べ診断する。
クームス試験(赤血球に対する抗体を調べる検査):免疫機能の異常による自己免疫性溶血性貧血があれば、陽性
ツベルクリン反応が陰性化することがある。IgG、IgM、IgAなどのガンマグロブリン値も低下することがある。

・骨髄検査
骨髄穿刺をして、骨髄液中に含まれる細胞の形を顕微鏡で調べる。局所麻酔で、腸骨(腰の骨)または胸骨(胸の中央にある骨)に細い針を刺し、骨の中にある骨髄液を注射器で吸引採取する。また、骨髄組織を採取する場合は、腸骨にやや太い針を刺す骨髄生検を行う。

・染色体検査
採取した骨髄液を用いて、特徴的な染色体の異常を調べる。特に染色体17p(17番染色体短腕)の欠失があるときは予後が不良で、治療方針を検討する場合に必要な項目の1つ。

遺伝子検査
FISH法で染色体の一部分を着色し、遺伝子の異常を検出する。PCR法で検出することある。
「免疫グロブリン重鎖(IgVH)遺伝子変異陰性」「ZAP-70発現」など予後不良の病型を検出する。

・超音波検査・CT検査
臓器の異常や合併症の有無の確認のため、超音波検査(エコー)やCT検査を行うことがある。

※ 骨髄液を注射器で吸引する際には痛みがあり、麻酔では通常抑えられません。しかし、この痛みは一時的です。

慢性リンパ性白血病(CLL)の病期ステージ

慢性リンパ性白血病(CLL)の病期分類は、1970年代から1980年代初めに欧米で提唱されたRai分類、またはBinet分類に基づきます。

新しい知見に基づくCD分子やPET所見などを指標とせず、リンパ球数やヘモグロビン(Hb)、血小板数といった日常診療でできる血液検査と、リンパ節・肝臓・脾臓の腫大のみを指標としている簡潔な分類ですが、この分類と予後との良好な相関関係が証明されており、30年以上経った現在でも治療方針の決定に重要な役割を果たしているすぐれた指標です。

一方、技術開発が進んだ昨今では、CLLの予後に影響をおよぼす遺伝子や蛋白質が明らかになってきたことから、それらを点数化した国際予後指標「CLL-IPI」が提唱されています。

治療抵抗性に関わるTP53やIGHVの遺伝子変異の有無などに基づき層別化し、リスクカテゴリーに分類する指標ですが、臨床現場ではまだ実用化されていません。

慢性リンパ性白血病(CLL)から転化するリヒター症候群とは

リヒター症候群とは、それまで緩徐な経過をたどっていた慢性リンパ性白血病(CLL)が突如、増大速度を増して活動性が急劇に高まり、月単位や週単位で悪性度が高まっていく状態で、いわばCLLのギアチェンジで発症する状態です。発熱や体重減少などの症状に伴い、リンパ節腫大や肝腫大、脾腫大が著しく進行し、腫瘍細胞の大型化とCD20陽性化などが特徴的な所見です。

多くは、最も多い悪性リンパ腫であるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に移行しますが、まれにホジキンリンパ腫(HL)やリンパ芽球性リンパ腫に移行することも報告されています。リヒター症候群を発症する割合は約1割と推計されています。

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