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多発性骨髄腫の化学療法・副作用

  • [公開日]2015.11.04
  • [最終更新日]2019.01.31

化学(薬物)療法の副作用

出やすい副作用の種類や出現時期は、使う薬やその量によって異なります。担当医や薬剤師の説明をよく確認して、およその出現時期と対処法、どういうときに病院へ連絡したほうがよいのかを知っておきましょう。

多発性骨髄腫の薬物療法は効果がある半面、ほとんどの人に副作用が出ます。患者さんによって、症状の出方や出現時期には差がありますが、薬によって起こる可能性の高い副作用とその出現時期がある程度わかっています。吐き気・嘔吐などつらい副作用は事前に対策を取ることでかなり軽減できるようになってきています。

副作用を恐れて薬物療法をむやみに敬遠したり、勝手に中断したりしないようにしましょう。多発性骨髄腫の治療に使う薬で出やすい副作用は、しびれ、便秘、吐き気・嘔吐、食欲不振、骨髄抑制(貧血、白血球・好中球・血小板の減少)、口内炎、下痢、皮疹、血栓症などです。骨髄抑制は自覚症状がないことが多く、起こる時期は一般的に薬の投与後1日~1週間で、薬によって異なります。

また、感染症にかかりやすくなるので、いつも以上に手洗い、うがい、人込みを避けるなどの感染症対策を心がけることが大切です。骨髄腫による腎障害のある人は、ボルテゾミブを含む治療をできるだけ早く始めることが推奨されます。

しかし、腎機能の悪化につながる腫瘍崩壊症候群を起こすことがあり、一時的に人工透析が必要なことがあります。ボルテゾミブを含む薬物療法は、間質性肺炎、強い末梢神経障害(手足のしびれや立ちくらみ)といった重い副作用が出る恐れがあります。

肺機能が低下している人やしびれが出やすい人は、他の治療法への変更を検討します。移植を受けない人では、MPB療法をMP(メルファラン+プレドニゾロン)療法に変更する場合もあります。ボルテゾミブは皮下投与をすると、静脈内投与よりも末梢神経障害が出にくいことがわかっています。

免疫調節薬のサリドマイド、レナリドミド、ポマリドミドは奇形児が生まれるリスクがあるので、妊娠を避けるようにします。サリドマイドは血栓症、末梢神経障害、レナリドミドは血栓症、骨髄抑制に要注意で、レナリドミドは腎障害の程度に応じて減量を検討します。サリドマイドやレナリドミドとメルファランとの併用は、二次がん発症リスクが高い傾向があります。

多発性骨髄腫に使う薬の多くは脱毛が起こりにくいものの、髪の毛やまゆ毛、まつ毛が薄くなったり抜け始めたりする人もいます。ただし、薬の使用が終了したり休んだりすれば、ほとんどの人は1~2か月で毛が生え始めます。副作用には、自分で対処でき、ある程度我慢してよいものと、すぐに病院へ連絡したほうがよいものがあります。出やすい副作用の対処法などを担当医などに必ず確認しておきましょう。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが2015年11月に出版した「もっと知ってほしい 多発性骨髄腫のこと」より抜粋・転記しております。

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