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非小細胞肺がん オプジーボがキイトルーダに7日遅れでFDA承認

  • [公開日]2015.10.18
  • [最終更新日]2017.11.13[タグの追加] 2017/11/13

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■この記事のポイント

免疫チェックポイント阻害薬オプジーボが、キイトルーダに7日遅れで、プラチナ製剤の使用歴がある非小細胞肺がん適応にてFDAで承認。

・オプジーボのみPD-L1タンパク発現の有無は関係なく使用が可能。

・オプジーボは多くのデータのもと承認。キイトルーダは少ないデータで承認。両者とも今後さらに多くのデータが蓄積されていく。


 アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration; FDA)は、10月9日に、免疫チェックポイント阻害薬PD-1抗体ニボルマブ(商品名オプジーボ)をプラチナ製剤使用歴を有する進行非小細胞肺がんに対して承認したと発表しました。進行非小細胞肺がんに対するPD-1抗体の承認は、10月2日のペンブロリズマブ(米国商品名:キイトルーダ/キートルーダ)に続いて2剤目。わずか7日遅れの承認となりますが、ペンブロリズマブとは異なる点は、PD-L1発現の有無にかかわらず使用できることです。

 日本において、ニボルマブはメラノーマ(悪性黒色腫)について適応を取得しており、進行非小細胞肺がんについても今年4月(扁平上皮)と7月(非扁平上皮)に承認申請を行っています。

(関連ニュース1:日本での承認申請状況)
非小細胞肺がん ニボルマブ(オプジーボ)が非扁平上皮がんに対しても効能追加承認申請(オンコロニュース20150722)

 今回の承認については、プラチナ製剤(パラプラチンやブリプラチンなど)を含む 2 剤併用化学療法の前治療中または前治療後に病勢進行が認められた進行非小細胞肺がん患者において、ドセタキセル(タキソテール)と、オプジーボを比較評価した、第3相非盲検無作為化試験です。この結果は欧州臨床腫瘍学会学術集会(ECC2015)にて発表されています。

 ニボルマブとペンブロリズマブという、2つのPD‐1抗体のFDA承認についてですが、以下のように若干異なっています。

【ニボルマブ(商品名オプジーボ)】
 PD-L1の発現に関わらず、治療歴を有する切除不能な進行・再発の肺扁平上皮がん患者に加え、非扁平上皮非小細胞肺がん患者を含む幅広い患者の試験データが蓄積。生存期間なども臨床試験にて証明。
◆非扁平上皮非小細胞肺がん(プラチナ製剤の治療経験がある方582名を対象にドセタキセルを対象としたCheckmate-057試験結果)
 ・生存期間:ドセタキセル9.4か月に比べて、オプジーボ12.2か月と延長。
 ・奏効率(がんが一定以上縮小した割合):ドセタキセル12%(36/290)、うち1人が完全奏効(腫瘍消失)に対して、オプジーボ19%(52/292)、うち4人が完全奏効。
 ・奏効した人の効果の持続期間:ドセタキセル6か月に対して、オプジーボ17か月。
◆扁平上皮非小細胞肺がん(プラチナ製剤の治療経験がある方272名を対象にドセタキセルを対象としたCheckmate-017試験結果)
 ・生存期間:ドセタキセル6.2か月に比べて、オプジーボ9.2か月と延長。
 ・奏効率(がんが一定以上縮小した割合):ドセタキセル9%に対して、オプジーボ20%。

(関連ニュース2)ASCO2015時のCheckmate057試験報告
非扁平上皮非小細胞肺がん ニボルマブ(オプジーボ) 生存期間延長 ASCO2015(オンコロニュース20150602)
〈関連ユース3:ECC2015時のCheckmate017試験報告
扁平上皮非小細胞がん オプジーボ プラチナ製剤抵抗性に対して有効の可能性(オンコロニュース20150910)

【ペンブロリズマブ(米国商品名キイトルーダ)】
PD-L1の発現のある患者限定。第1相臨床試験であるKeynote001試験データのみで承認。
◆ 非扁平上皮および扁平上皮非小細胞肺がん(プラチナ製剤治療歴がある495名を対象にしたKeynote‐001試験結果)
 ・奏効率:PD-L1発現が認められた患者61人をの解析を行った結果、キイトルーダ単独療法を2~3週間ごと受けた場合、61人中25人(41%)に、一定以上の腫瘍縮小効果が認められた。
 ・生存期間等を比較したデータは伴っていない(臨床試験実施中)

(関連ニュース4:ペンブロリズマブのFDA承認)
非小細胞肺がん FDA PD-1抗体ペンブロリズマブ(キイトルーダ)承認(オンコロニュース20151004)

 オプジーボは生存期間を伴ったデータ蓄積のもと承認されている一方、ペンブロリズマブはPD-L!発現に絞った際の高い奏効率をもとに承認されているといえます。また、今回は安全性には大きく振れていませんが、オプジーボは以下の副作用が懸念されています。

(関連ニュース5:厚労省のオプジーボに関する安全性通知)
ニボルマブ(オプジーボ) 重大副作用の注意喚起等を追記 厚生労働省が指示(オンコロニュース20150916)

 まだまだ、わからないことばかりですが、今後数年で更なる新しいデータが蓄積されることは間違いなく、オンコロでも皆さんにお届けできればと考える次第です。

【参考】
FDA expands approved use of Opdivo in advanced lung cancer
小野薬品工業プレスリリース(2015年10月14日)
Nivolumab versus Docetaxel in Advanced Squamous-Cell Non–Small-Cell Lung Cancer(N Engl J Med 2015; 373:123-135July 9, 2015DOI: 10.1056/NEJMoa1504627)
Nivolumab versus Docetaxel in Advanced Nonsquamous Non–Small-Cell Lung Cancer(N Engl J Med 2015; September 27, 2015DOI: 10.1056/NEJMoa1507643)
Pembrolizumab for the Treatment of Non–Small-Cell Lung Cancer(N Engl J Med 2015; 372:2018-2028May 21, 2015DOI: 10.1056/NEJMoa1501824)

記事:可知 健太

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ワード:キートルーダ

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