10月31日、都内にて昭和大学 先端がん治療研究所の開所式が行われた。同研究所は、ディレクターにMDアンダーソンがんセンター乳腺腫瘍内科学部門教授となる上野直人氏を迎え、鶴谷純司氏が所長に赴任し、本年8月より発足された。今後、診断・治療・予防技術の新規提案・開発を目標に、基礎・臨床・トランスレーショナルリサーチを推進していく。
今回、ディレクターの上野氏は「ペイシェント・セントリシティな研究を目指す」と名言。具体的にはSNS等を駆使して研究進捗や治験情報を積極的に配信していくと語った。一方、所長の鶴谷氏は「診療科の壁を越え、大学全体で挑む研究体制を作っていく」と医学部のみならず昭和大学全体で研究を推し進める体制構築に挑む。
また、同大学乳腺外科部門教授の中村清吾氏は昭和大学関連病院8施設の乳がん患者数が年間1,000名であることに言及し、「圧倒的なリソースを基に乳がん研究の加速化を狙う」とし、同大学腫瘍内科部門教授の角田卓也氏は「地域連携を活用し、周辺に住まわれる全てのがん患者が昭和大学病院を訪れるような体制を整えていく」と語った。
現在、首都圏のがん研究体制は国立がん研究センターやがん研究会有明病院などのがん専門病院が台頭しており、大学病院はおくれを取っているといっても過言ではない。その中で、昭和大学は先端がん治療研究所の設立により、基礎研究から前臨床研究、更には臨床試験に至るまで一貫した体制強化を行うなど、巻き返しを図ることとなる。
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