・ゲムシタビンベースの化学療法後に病勢進行した転移性膵管腺がん患者が対象の第2a相試験
・XCR4阻害薬BL-8040+抗PD-1抗体薬キイトルーダ+化学療法の有効性・安全性を検証
・主要評価項目である客観的奏効率は、4/15人の患者で部分奏効、8/15人の患者で病勢安定を示した
2019年12月11~14日、スイス・ジュネーブで開催された欧州臨床腫瘍学会 腫瘍免疫学シンポジウム(ESMO Immuno Oncology)にて、ファーストライン治療としてゲムシタビンベースの化学療法後に病勢進行した転移性膵管腺がん(PDAC)患者に対するCXCR4阻害薬であるBL-8040+抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)+化学療法の有効性、安全性を検証した第2a相のCOMBAT試験(NCT02826486)の結果がWeill Cornell Medicine in New YorkのManuel Hidalgo氏らにより公表された。
COMBAT試験とは、ファーストライン治療としてゲムシタビンベースの化学療法後に病勢進行した転移性膵管腺がん(PDAC)患者(N=22人)に対し、BL-8040単剤療法を5日間投与後、1週に2回BL-8040+2週に1回化学療法+3週に1回キイトルーダ併用療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した第2a相試験である。
本試験が開始された背景として、抗PD-1/PD-L1抗体薬は複数のがん種に対して有効性を示しているが、予後不良である転移性膵管腺がん(PDAC)に対しては効果を示していない。しかしながら、転移性膵管腺がん(PDAC)の治療選択肢は非常に限られており、新しい治療選択肢の開発が必要である。以上の背景より、腫瘍微小環境を調節し、免疫抗腫瘍反応を強化する可能性が示唆されているCXCR4阻害薬と抗PD-1抗体薬、化学療法の併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の有効性評価可能であった15人の患者における結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は4人の患者で部分奏効(PR)、8人の患者で病勢安定(SD)を示した。また、部分奏効(PR)もしくは病勢安定(SD)を達成した全ての患者で腫瘍マーカーであるCA19-9の初回増加後に減少を示し、腫瘍縮小効果が確認された。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)はともに本解析時点では未到達を示した。一方の安全性として、10人の患者で15の重篤な有害事象(SAE)が確認され、重篤な有害事象(SAE)により2人の患者が治療中止に至った。
以上のCOMBAT試験の結果よりManuel Hidalgo氏らは以下のように結論を述べている。”転移性膵管腺がん(PDAC)患者に対するCXCR4阻害薬BL-8040+抗PD-1抗体薬キイトルーダ+化学療法は良好な抗腫瘍効果を示し、高い病勢制御率(DCR)を示しました。”
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