・ALK遺伝子変異を標的とする次世代のチロシンキナーゼ阻害薬ブリガチニブ
・転移性非小細胞肺がんへのファーストラインとしての適応追加申請をFDAが優先審査に指定
・審査終了目標日は2020年6月23日に設定
2020年2月25日、武田薬品工業株式会社(以下、武田薬品)は、ブリガチニブ(商品名:ALUNBRIG)について、米国食品医薬品局(FDA)が承認した検査により診断された未分化リンパ腫キナーゼ遺伝子転座陽性(ALK陽性)転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するファーストライン治療薬としての適応追加申請をFDAが優先審査に指定したことを発表した。
ALUNBRIGは、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の遺伝子変異を標的とし、かつ阻害する次世代のチロシンキナーゼ阻害薬である。
今回のファーストライン治療としてのALUNBRIGの適応追加申請は、ALK阻害薬による前治療を受けていないALK陽性局所進行性あるいは転移性非小細胞肺がん患者を対象にALUNBRIGとクリゾチニブの安全性および有効性を比較評価する臨床第3相ALTA-1L試験*の結果に基づいている。
同試験では、ALUNBRIGはクリゾチニブと比較し、盲検化された独立審査委員会(BRIC)の無増悪生存期間(PFS)の評価において有意な改善が示され、主要評価項目を達成した。
*ALTA-1L試験について
ALUNBRIGの臨床第3相ALTA-1L(ALK in Lung Cancer Trial of BrigAtinib in 1st Line)試験は、ALK阻害薬による前治療歴のないALK陽性局所進行あるいは転移性非小細胞肺がん患者275例(ALUNBRIG、n=137、クリゾチニブ、n=138)を登録した、現在進行中のグローバル無作為化非盲検比較多施設共同試験。
患者は、ALUNBRIG 180mgを1日1回(7日間の導入期間においては 90mgを1日1回)、もしくはクリゾチニブ250mgを1日2回服用した。
年齢の中央値はALUNBRIG群で58歳、クリゾチニブ群で60歳であった。
ALUNBRIG群ではベースライン時に29%の患者に脳転移が認められたのに対し、クリゾチニブ群では30%であった。
ALUNBRIG群では患者の26%が進行または転移に対する化学療法の前治療歴を有していたのに対し、クリゾチニブ群では27%であった。
盲検化された独立審査委員会(BIRC)の無増悪生存期間(PFS)の評価が主要評価項目であり、副次的評価項目は、固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST)改訂版1.1による客観的奏効率(ORR)、頭蓋内ORR、頭蓋内PFS、全生存期間(OS)、安全性、忍容性などである。
ALTA-1L試験におけるALUNBRIGの安全性プロファイルは、既存の米国の添付文書の情報と概ね一致していた。
なお、ALTA-1L試験は日本では実施されていない。
参考
食事の影響なく1日1回の経口投与ができる世界唯一のALK阻害薬として非小細胞肺がんの新薬ALUNBRIGが米国FDAより承認(2017年10月リリース)
参照元:
武田薬品工業株式会社ニュースリリース
リサーチのお願い
この記事に利益相反はありません。