9月15日、第一三共株式会社は、HER3に対する抗体薬物複合体(ADC)であるU3-1402の第2相試験において、切除不能な大腸がん患者に対する最初の投与を開始したと発表した。
大腸がんは世界で罹患数が3番目に多く、死因では第2位である。診断時に遠隔転移を認める場合も多く、切除不能な大腸がん患者の場合、5年生存率は14%と、予後が不良である。また、HER3は大腸がん患者の最大83%に過剰発現し、標準治療に対する抵抗性や転移の増加、生存率の低下に関与していると言われている。一方で、HER3が標的となった治療薬はないのが現状である。
今回の第2相試験は、前治療歴のある切除不能な大腸がん患者をHER3高発現と低発現の2群に分け、U3-1402の有効性と安全性を検証する目的で行われる。米国、欧州、日本で最大80名登録を予定している。主要評価項目は客観的奏効率、副次評価項目は病勢コントロール率、奏効期間、無増悪生存期間、全生存期間などである。
第一三共は「本剤について、複数の固形がん(非小細胞肺がん、乳がん、大腸がん等)での試験を積極的に進めていくことで製品価値を最大化し、がん患者さんのアンメット・メディカル・ニーズの充足に取り組んでまいります」と述べている。
抗体薬物複合体(ADC)とは
抗体と低分子化合物である薬物をリンカーを介して結合させた薬剤。がん細胞に発現している標的因子に結合する薬物を抗体を介して直接的にがん細胞に届けることで、がん細胞への攻撃を高め、全身曝露を抑制する。
大腸がんについて
米国における2020年のデータでは、新規罹患者数が約15万人、死亡者数は約5万人と予測されており、正解的に見ても罹患者は3番目に多く、がん種別死因としては2番目に多い。診断時に遠隔転移をしている場合が25%程であり、最終的にはおおよそ半分の患者が転移を起こし、予後は不良。切除不能な大腸がん患者のうち診断後の5年生存率は約14%である。
参照元:
第一三共株式会社 ニュースリリース
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