・NPM1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)患者が対象の第3相試験
・導入療法としてのイブルチニブ+シタラビン+エトポシド+ATRA±̟ゲムツズマブ オゾガマイシン併用療法の有効性・安全性を比較検証
・ゲムツズマブ オゾガマイシン群で無イベント生存のリスクを17%減少も、両群間で統計学有意な改善は確認されず
2019年12月18日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてNPM1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)患者に対する導入療法としてのイブルチニブ+シタラビン+エトポシド+ATRA±抗CD33モノクローナル抗体薬物複合体であるゲムツズマブ オゾガマイシン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のAMLSG 09-09試験(NCT00893399)の結果がHeidelberg University HospitalのRichard F. Schlenk氏らにより公表された。
AMLSG 09-09試験とは、18歳以上のNPM1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)患者(N=588人)に対してイブルチニブ+シタラビン+エトポシド+ATRA+ゲムツズマブ オゾガマイシン併用療法を投与する群(N=292人)、またはイブルチニブ+シタラビン+エトポシド+ATRA併用療法を投与する群(N=296人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無イベント生存期間(EFS)などを比較検証した第3相試験である。
本試験が実施された背景として、急性骨髄性白血病の約20~33%の患者でNPM1遺伝子変異陽性は確認されている。また、NPM1遺伝子変異陽性はCD33陽性の発現と深い関連性があることが他の臨床試験で確認されている。以上の背景より、急性骨髄性白血病(AML)患者に対する標準治療に対して抗CD33モノクローナル抗体薬物複合体であるゲムツズマブ オゾガマイシンの上乗せ効果を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値39.4ヵ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である2年無イベント生存率(EFS)は標準治療群52.6%(95%信頼区間:47.0%-58.9%)に対してゲムツズマブ オゾガマイシン群58.1%(95%信頼区間:52.5%-64.4%)、ゲムツズマブ オゾガマイシン群で無イベント生存(EFS)のリスクを17%(HR:0.83,95%信頼区間:0.65‐1.04,P=0.10)減少するも両群間で統計学有意な改善は確認されなかった。なお、導入療法中の死亡率は標準治療群5.7%に対してゲムツズマブ オゾガマイシン群10.3%を示し、主な死亡理由は感染症によるものであった。
副次評価項目である完全寛解(CR)または血球数が未回復な完全寛解(CRi)を達成患者における2年再発率は標準治療群36.9%(95%信頼区間:30.8%-43.0%)に対してゲムツズマブ オゾガマイシン群25.5%(95%信頼区間:19.7%-31.2%)、ゲムツズマブ オゾガマイシン群で2年再発率は統計学有意に低率であった(P=0.005)。
以上のAMLSG 09-09試験の結果よりRichard F. Schlenk氏らは以下のように結論を述べている。”NPM1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)患者に対する導入療法としての標準治療+抗CD33モノクローナル抗体薬物複合体ゲムツズマブ オゾガマイシンの上乗せ効果は、無イベント生存率(EFS)を改善しなかったものの、導入療法後に完全寛解(CR)または血球数が未回復な完全寛解(CRi)を達成患者における再発率は改善しました。”
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