2021年1月29日、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部は、新薬3製品の承認の審議を行い、承認を了承した。うち抗がん剤関連は2製品。また、報告事項※として2製品を報告した。
※報告事項:医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階において、承認して差し支えないとされ、部会では審議せず報告のみでいいと判断されたもの。
目次
審議品目
レミトロ点滴静注用300μg(デニロイキン ジフチトクス(遺伝子組換え))
効能・効果:再発/難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)および再発/難治性の皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)
デニロイキン ジフチトクス(遺伝子組換え)は、ジフテリア毒素(DT)の一部のアミノ酸配列と、ヒトインターロイキン-2(IL-2)の全アミノ酸配列を融合した遺伝子組換え融合タンパク。同薬は、腫瘍細胞の細胞膜上に発現するIL-2受容体に結合し、細胞内に取り込まれた後にDTが切断され、遊離したDT(酵素活性部位)がタンパク合成を阻害することなどにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。2020年10月時点で、同薬は、再発または難治性のCTCLを効能・効果として米国でのみ承認されており、再発または難治性のPTCLに関する効能・効果では、同薬が承認されている国または地域はない。
ヴァイトラックビカプセル25mg、同カプセル100mg、同内用液20mg/mL(ラロトレクチニブ硫酸塩)
効能・効果:NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がん
ラロトレクチニブは、チロシンキナーゼを阻害する低分子化合物。同薬は、NTRK遺伝子(NTRK1、NTRK2およびNTRK3遺伝子の各サブタイプ)によりコードされるtropomyosin receptor kinase(TRK)の各サブタイプ(TRKA、TRKBおよびTRKC)のリン酸化を阻害。下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することで、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。類薬には、中外製薬のロズリートレクカプセル(一般名:エヌトレクチニブ)がある。2020年10月時点で、NTRK融合遺伝子陽性の固形がんを効能・効果として42の国または地域で承認されている。
報告品目
ダウノマイシン静注用20mg(ダウノルビシン塩酸塩)
効能・効果:急性白血病(慢性骨髄性白血病の急性転化を含む)
ダウノルビシンは、アントラサイクリン系の抗腫瘍性抗生物質。同薬は、腫瘍細胞のDNAと複合体を形成して、DNAおよびRNAの生合成を阻害することで、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。2020年10月時点で、急性白血病を効能・効果として、20カ国以上の国または地域で承認されている。
バベンチオ点滴静注200mg(アベルマブ(遺伝子組換え))
効能・効果:根治切除不能な尿路上皮がんにおける化学療法後の維持療法
アベルマブ(遺伝子組換え)は、ヒトprogrammed cell death ligand-1(PD-L1)に対するIgG1サブクラスのヒト型モノクローナル抗体。同薬は、PD-L1の細胞外領域に結合し、PD-L1とprogrammed cell death-1(PD-1)およびB7-1との結合を阻害することなどで、がん抗原特異的なT細胞の細胞傷害活性を増強し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。2020年10月時点で、根治切除不能な尿路上皮がんにおける化学療法後の維持療法に係る効能・効果にて2カ国で承認されている。
参照元:
厚生労働省 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)
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