・ハイリスク再発B細胞性急性リンパ芽球性白血病小児患者が対象の第3相試験
・ビーリンサイト単剤療法の有効性・安全性を化学療法と比較検証
・無イベント生存率はビーリンサイト群69%を示し、化学療法群43%に対して統計学的有意に改善を認めた
2021年3月2日、アムジェン社プレスリリースにて同種造血幹細胞移植(alloHSCT)前のハイリスク再発B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)小児患者に対する抗悪性腫瘍剤二重特異性抗体製剤であるビーリンサイト(一般名:ブリナツモマブ、以下ビーリンサイト)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相の20120215試験の無イベント生存期間(EFS)の結果が公表された。
20120215試験とは、ハイリスク再発B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)小児患者に対してビーリンサイト単剤療法を投与する群、または強力な化学療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無イベント生存期間(EFS)、重要な副次評価項目として全生存期間(OS)、微小残存病変(MRD)陰性率などを比較検証した国際多施設共同ランダム化オープンラベルの第3相試験である。なお、イベントは、再発、死亡、二次がん、完全寛解(CR)未達と定義された。
本試験のフォローアップ期間中央値22.4ヶ月時点における結果は下記の通りである。無イベント生存率(EFS)はビーリンサイト群69%に対して化学療法群43%、ビーリンサイト群で無イベント生存率(EFS)を統計学的有意に改善した。
副次評価項目である微小残存病変(MRD)陰性率はビーリンサイト群93%に対して化学療法群24%を示した。36ヶ月全生存率(OS)はビーリンサイト群81.1%に対して化学療法群55.8%を示し、全生存期間(OS)中央値は未達であった。
一方の安全性として、重篤な有害事象(SAE)発症率はビーリンサイト群24.1%に対して化学療法群43.1%、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はビーリンサイト群57.4%に対して化学療法群82.4%を示した。ビーリンサイト群で最も多くの患者で確認された有害事象(AE)は発熱81.5%、悪心40.7%、頭痛35.2%、口内炎35.2%、嘔吐29.6%であった。
以上の20120215試験の結果より、Franco Locatelli氏は「化学療法は同種造血幹細胞移植(alloHSCT)前のハイリスク再発B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)の普遍的な治療法でありながら、抗腫瘍効果は乏しく、毒性も懸念されます。抗悪性腫瘍剤二重特異性抗体製剤であるビーリンサイトは再発B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)に対して抗腫瘍効果も良好であり、毒性の発現も少ないことが本試験より証明されました」と結論を述べている。
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