4月16日、富士フイルム株式会社と国立がん研究センターは、医師や研究者が画像診断支援用のAI技術(ソフトウェア)を開発できる「AI開発支援プラットホーム」を共同で開発したと発表した。同プラットフォームを活用することで、プログラミングなどの専門知識がなくても医師や研究者が学習データの作成から学習の実行・評価までの一連のAI開発プロセスが実行可能となるという。
国立がん研究センターと中央病院は、科学技術振興機構による戦略的創造研究推進事業の一環として「人工知能を用いた統合的ながん医療システムの開発」と「人工知能技術を活用した革新的ながん創薬システムの開発」の2つのプロジェクトに取り組んでいる。同プロジェクトで得た知見と富士フイルムが画像診断システムで培った技術を生かし、共同でAI開発支援プラットホーム構築した。
AI技術の1つである深層学習技術を活用した医療用画像の診断技術は、研究機関、医療機関、企業などが開発を進め、臨床のさまざまなニーズに応えようとしている。しかし、精度の高いAI技術の開発には医師による良質な学習データの加工(アノテーション)や、開発工程に関わる高度な工学的知識が必要となるため、時間と技術を要し、医師のAI技術開発を支援するソリューションが求められている。
今回開発されたAI開発支援プラットホームは、臨床現場で用いられている画像診断環境に近い操作で効率的、直感的に画像の閲覧や加工ができ、学習データの作成から実行、評価までの一連のAI開発過程(図1)を実行できる環境を提供するという。
同プラットフォームにより、研究機関や医療機関がAI技術の活用に取り組みやすくなるとともに、今まで医師がAI開発に費やしていた時間を削減することが出来るようになるため、AI技術を活用した画像診断支援技術の研究開発の加速が期待される。
今後、富士フイルムと国立がん研究センターは引き続き二者共同で「AI開発支援プラットフォーム」の研究活用と有用性の検証を進め、富士フイルムが製品化を目指すとしている。
参照元:
国立がん研究センター プレスリリース
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