6月23日、大原薬品工業株式会社は、キメラモノクローナル抗体である「ユニツキシン点滴静注(一般名:ジヌツキシマブ(遺伝子組換え)、開発番号:OP-08、以下ユニツキシン)について、大量化学療法後の神経芽腫を適応症とし、国内における製造販売承認を取得したと発表した。
神経芽腫は、胎児期の神経堤細胞を起源とする細胞ががん化したことが原因で発症する小児固形腫瘍で、小児がんの中では白血病、脳腫瘍に次いで多く見られる。腫瘍が小さいときは無症状で経過するため早期発見は難しく、進行し転移後に、頭のこぶ、目の腫れ、手足の痛み、貧血や青あざなどさまざまな症状をきっかけに発見されることが多い。神経芽腫の新規罹患者数は、毎年国内で最大で160人程度と言われている。神経芽腫は、5つの予後因子から低/中間/高の3つのリスク群に分類されるが、約4~6割の患者が高リスク群に分類され、その5年生存率は5割以下であり、小児固形腫瘍の中では予後が悪い。高リスク群では化学療法、外科治療、放射線治療、自己幹細胞移植を併用する大量化学療法などを組み合わせた集学的治療が行われる。
今回の承認は国内で実施された医師主導治験であるGD2-PI試験とGD2-PII試験の結果に基づくもの。GD2-PI試験では、再発神経芽腫または高リスク治療寛解神経芽腫患者を対象に、ユニツキシン+フィルグラスチム+テセロイキン併用療法を投与し、忍容性が確認された。一方、GD2-PII試験では、高リスク治癒寛解神経芽腫患者を対象に、ユニツキシン+フィルグラスチム+テセロイキン併用療法を投与し、2年無イベント生存(EFS)と3剤併用療法の米国レジメンに対する非劣性を評価。その結果、3剤併用療法の米国レジメンに対して非劣勢を示すとともに、安全性においても大きな違いを認めなかった。
ユニツキシンは米国とカナダで高リスク神経芽腫の標準治療薬として用いられていたが、日本国内では長らくドラッグラグの状態が続いていた。
ユニツキシンとは
遺伝子組換えキメラモノクローナル抗体であるユニツキシン(一般名:ジヌツキシマブ(遺伝子組換え))は、マウス抗ガングリオシドGD2モノクローナル抗体の可変部およびヒトIgG1の定常部から構成される分子量約15万の糖タンパク質。神経芽腫などヒトの神経外胚葉性腫瘍に多く発現している抗原であるGD2と特異的に反応し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)作用および補体依存性細胞傷害(CDC)作用を介して、神経芽腫細胞の溶解を引き起こす。
参照元:
大原薬品工業株式会社 ニュースリリース
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