・ハイリスク新規多発性骨髄腫患者が対象の第2相試験
・イサツキシマブ+カイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率100%、24ヶ月無増悪生存率75.5%を示す
2021年6月9日~17日、バーチャルミーティングで開催された第25回欧州血液学会議(EHA2021)にて、ハイリスク新規多発性骨髄腫患者を対象に抗CD38モノクローナル抗体であるイサツキシマブ+カイプロリス(一般名:カルフィルゾミブ、以下カイプロリス)+レナリドミド+デキサメタゾン(Isa-KRd)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のThe GMMG-CONCEPT試験(NCT03104842)の中間解析の結果がUniversity Medical Center Hamburg-EppendorfのLisa Leypoldt氏らにより公表された。
The GMMG-CONCEPT試験は、ハイリスク新規多発性骨髄腫患者(N=153人)に対する地固め療法としてイサツキシマブ+カイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法を4サイクル後、維持療法としてイサツキシマブ+カイプロリス+レナリドミド併用療法を行い、主要評価項目としてNext Generation Flow(NGF)測定による微小残存病変(MRD)陰性率を検証した第2相試験である。
なお、ハイリスクの定義は染色体異常としてdel17p、t(4;14)、t(14;16) 、または1q21(>3copies)でISS病期ステージII、IIIのいずれかを有する患者としている。また、ハイリスク新規多発性骨髄腫患者は移植適応、移植非適応により振り分け、地固め療法前に移植適応のあるハイリスク新規多発性骨髄腫患者に対しては移植後の大量化学療法(ArmA、N=46人)、移植適応のないハイリスク新規多発性骨髄腫患者に対しては導入療法としてイサツキシマブ+カイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法を2サイクル(ArmB、N=4人)実施している。
本試験が開始された背景として、ハイリスク新規多発性骨髄腫の全生存期間(OS)中央値は2年未満であり、非常に予後が不良である。しかしながら、近年の臨床試験により微小残存病変(MRD)陰性をはじめ深い完全寛解(CR)達成した患者の無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)は改善することが示されている。以上の背景より、ハイリスク新規多発性骨髄腫患者に対するイサツキシマブ+カイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の結果、客観的奏効率(ORR)は100%を示し、最良部分奏効率(VGPR)は90%を示した。また、微小残存病変(MRD)を測定できた33人の患者のうち20人の患者が微小残存病変(MRD)陰性を示している。
フォローアップ期間中央値24.9ヶ月時点において、全患者群における12ヶ月無増悪生存率(PFS)は79.6%(95%信頼区間:68.3~90.9%)、24ヶ月無増悪生存率(PFS)は75.5%(95%信頼区間:63.5~87.6%)を示した。
また、ArmA群における12ヶ月無増悪生存率(PFS)は80.0%(95%信頼区間:68.3~91.7%)、24ヶ月無増悪生存率(PFS)は75.6%(95%信頼区間:63.0~88.1%)を示した。
以上のThe GMMG-CONCEPT試験の結果よりLisa Leypoldt氏らは「ハイリスク新規多発性骨髄腫患者に対する4剤併用療法である抗CD38モノクローナル抗体イサツキシマブ+カイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン療法は客観的奏効率(ORR)100%を示し、12ヶ月無増悪生存率(PFS)も24ヶ月無増悪生存率(PFS)もそれぞれ79.6%、75.5%と良好でした」と結論を述べている。
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