・移植適応のある新規多発性骨髄腫患者が対象の第2相試験
・カイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法、
自家造血幹細胞移植併用大量化学療法の有効性・安定性を比較検証
・最良部分奏効率は70%を示し、カイプロリス+シクロスファミド+デキサメタゾン併用群(53%)
に対して高率であった
2021年11月11日、医学誌『The Lancet Oncology』にて、移植適応のある新規多発性骨髄腫患者を対象に新規プロテアソーム阻害薬であるカルフィルゾミブ(商品名:カイプロリス、以下カイプロリス)+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法、自家造血幹細胞移植併用大量化学療法の有効性、安定性を比較検証した第2相のUNITO-MM-01/FORTE試験(NCT02203643)の結果がUniversity of TorinoのFrancesca Gay氏らにより公表された。
UNITO-MM-01/FORTE試験は、移植適応のある新規多発性骨髄腫患者(N=474人)に対する導入療法としてカイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン(KRd)併用療法を実施後、自家造血幹細胞移植併用大量化学療法を実施し、コンソリデーション療法としてカイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法を行う群、もしくは導入療法としてカイプロリス+シクロスファミド+デキサメタゾン(KCd)併用療法を実施後、自家造血幹細胞移植併用大量化学療法を実施し、コンソリデーション療法としてカイプロリス+シクロスファミド+デキサメタゾン併用療法を行う群に無作為に振り分け、主要評価項目として導入療法後の最良部分奏効率(VGPR)を比較検証したオープンラベルの第2相試験である。なお、コンソリデーション療法後は、維持療法としてカイプロリス+レナリドミド併用群、レナリドミド単剤群に振り分けられた。
本試験が開始された背景として、移植適応のある新規多発性骨髄腫患者に対する導入療法、コンソリデーション療法はボルテゾミブベースの治療が現在の標準治療である。以上の背景より、新規プロテアソーム阻害薬カイプロリスベースの導入療法、コンソリデーション療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値50.9ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である最良部分奏効率(VGPR)は、カイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン併用群の70%(N=222/315人)に対して、カイプロリス+シクロスファミド+デキサメタゾン併用群で53%(N=84/159人)と、カイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン併用群で高率(OR 2.14, 95%信頼区間:1.44~3.19,P=0.0002)であった。
また、維持療法を受けた356人の患者における3年無増悪生存率(PFS)はカイプロリス+レナリドミド併用群(N=178人)の75%(95%信頼区間:68~82%)に対してレナリドミド単剤群(N=178人)で65%(95%信頼区間:58~72%)を示し、カイプロリス+レナリドミド併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを36%減少(HR:0.64,95%信頼区間:0.44~0.94,P=0.023)した。
以上のUNITO-MM-01/FORTE試験の結果よりFrancesca Gay氏らは以下のように結論を述べている。”移植適応のある新規多発性骨髄腫患者に対するカイプロリス+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法、自家造血幹細胞移植併用大量化学療法の最良部分奏効率(VGPR)は非常に高率でした。また、維持療法としてのカイプロリス+レナリドミド併用療法は、レナリドミド単剤療法に比べて無増悪生存期間(PFS)を改善しました。”
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