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AACR 2022 –ノバルティス社は後発のKras阻害剤でアムジェン社に挑戦するEvaluate Vantage(2022.04.12)より

  • [公開日]2022.04.28
  • [最終更新日]2022.04.27

※本記事はEvaluate社の許可のもと、オンコロが翻訳したものです。内容および解釈については英語の原文を優先します。正確な内容については原文をお読みください。

 

Shp2を標的とすることは期待外れだったが、ノバルティス社はKrasを直接攻撃することでまだ印象を良くする可能性があることを示している。

Shp2阻害剤の臨床試験奏効率0%という結果が報告され、Kras領域に衝撃を与えてから1年、スイス・ノバルティス社はKras G12Cを直接阻害することで幸運を掴んだ。後者のメカニズムを持つ分子であるJDQ443は、肺がんで印象的な効果を示したと、昨日(4月11日)AACR(米国癌学会年次大会)で発表された。

このデータは、第1/2相KontRASt-01試験で得られた少人数の患者サンプルから得られたもので、JDQ443が少なくとも最先端のKras G12C阻害剤である米アムジェン社のルマケラス(一般名:ソトラシブ)と同等の効力を持つことが示唆されたものである。スイスの企業にとっての問題は、ルマケラスのNSCLC(非小細胞肺がん)の承認が昨年(2021年)に得られたのに対し、JDQ443の主要臨床試験は2022年後半まで開始されないことだ。

ノバルティス社は当初、JDQ443の第3相試験を今年の早い時期に開始することを希望していたが、2月に開始を延期した。計画中の試験、KontRASt-02試験はすでにclinicaltrials.govに登録されており、開始日は7月15日とされている。この試験は、Kras G12C変異NSCLCを対象に、無増悪生存期間PFS)を主要評価項目として、JDQ443とドセタキセルを比較するものである。

試験デザインに関する大きな疑問は、JDQ443とルマケラスを直接比較しないピボタル試験が受け入れられるかどうかということだ。

アムジェン社や他社の脅威がなければ、非常に楽観的な兆候である。昨日のAACRにおけるアップデートでは、NSCLC患者20名のうち35%で寛解が確認され、さらに2名の奏効が未確認であることが示された。さらに良いことに、JQT443の推奨用量である1日2回投与の200mgでは、わずか7名ではあるが57%のORR(客観的奏効率)が確認された。


Note: 5 Jan 2022 data cutoff. Source: Dr Daniel Tan & AACR.

試験間で比較すると、ルマケラスのG12C変異型NSCLCに対するラベル(添付文書)に記載されているCodebreak-100試験におけるORR(36%)や、次に最も開発が進んでいるKras阻害剤である米Mirati社のadagrasib(アダグラシブ)がKrystal-1試験で示した肺がんにおけるORR(45%)と少なくとも同等であるように思われる。

アダグラシブは遅れをとっており、米国での早期承認の可能性は疑わしい。FDA(米国食品医薬品局)の(PDUFA)アクション・デートまでには、アムジェン社はすでにルマケラスの検証的試験から生存データを報告しているかもしれない。明らかに、JDQ443の迅速承認は問題外である。

また、アムジェン社はAACRにおいて、Codebreak-100試験の最新の解析結果を報告し、ルマケラスの承認用量でのORRは41%に上昇し、PFS(無増悪生存期間)とOS全生存期間)の中央値がそれぞれ6.3ヶ月と12.5ヶ月であったという良好な知らせを得ている。

安全性に関しては、ルマクラスとアダグラシブの治療に関連する重篤な有害事象の発生率はそれぞれ21%と30%であるのに対し、JDQ443の試験ではグレード3以上の有害事象が13%であり、200mg1日2回投与患者11名では発生しなかった。

大腸がんと併用療法

Kras G12C阻害剤の別の適応として考えられるのは大腸がんであり、アダグラシブはKrystal-1試験においてORRで22%を示し、優位に立ってはいるが、Mirati社はまだ申請の計画を定めていない。

ルマクラスの有効性は低く、アムジェン社はこの単剤療法の適応を非優先とした。AACRで詳述されたJDQ443の試験は、14人の大腸がん患者を対象とし、そのうち1人は確定部分奏効、2人は未確定部分奏効であった。

明確な結論を出すにはサンプル数が少なすぎるが、少なくともこれはノバルティス社がShp2阻害剤TNO155で得た知見よりも優れたデータであることは明らかである。昨年のASCO(米国臨床腫瘍学会年次総会)(で発表されたデータ)では、118人の固形がん患者を対象とした単剤療法の試験において1例の寛解も得られなかった。同様に、AACR 2021で明らかになった米Revolution社/仏サノフィ社のShp2阻害剤RMC-4630は、80人の被験者のうちわずか3例の奏功を示しただけであった。

アナリストは現在、Shp2阻害はKrasの直接阻害剤との組み合わせの一部としてのみ有効であると大いに期待しており、TNO155はJDQ443と同様にアダグラシブと併用試験中である。JDQ443の最新データは、期待値のベースラインを提示している。

■出典
AACR 2022 – Novartis’s late Kras challenge to Amgen

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