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第26回OMCE 肺がん ミニレポート

  • [公開日]2018.03.20
  • [最終更新日]2019.03.14

講演タイトル:『肺がん』
演    者:佐々木 治一郎 先生(北里大学医学部附属新世紀医療開発センター教授 北里大学病院集学的がん診療センター長)
日    時:2月23日(金)
場    所: 秋葉原・ジーニアスセミナールーム

今月は、肺がんをテーマにご来場頂きました。

クローズドセミナーであるため全ての情報は掲載できませんが、ポイントとなる情報をお伝えしていきます。

今回は、肺がんの基礎知識、肺がん治療の基礎知識、肺がん治療のトピックスの3つの柱を中心にご講義頂きました。

まず、肺がんの基礎知識では、がん細胞の発生について遺伝子異常、がん細胞の特性や定義、生存率の変化を教えて頂きました。がん細胞は正常細胞の遺伝子に変異が加わることにより生じ、また1つの遺伝子異常でがん細胞になる場合もあり、その遺伝子を「ドライバー・オンコジーン」と呼びます。

がん細胞の特性は、自己増殖、細胞死抑制(増えるのを止めない)、浸潤転移、免疫回避(免疫機能から逃げる)があります。また、肺がんは気管支や肺胞の細胞が癌化した腫瘍と定義でき、肺がん全体の5年生存率は31.9%です。遠隔転移を有する場合は5%程度ですが、以前より改善しています。

次に、肺がん治療の基礎知識では、現在の肺がんの薬物療法は、ドライバーがん遺伝子異常に対する分子標的薬(キナーゼ阻害薬)に代表されるプレシジョン・メディシンであることをお話頂きました。

ドライバーがん遺伝子異常が有る肺がんの場合は、分子標的薬の使用が第一選択となります。ドライバー遺伝子異常が無い場合、PD-L1蛋白発現の有無により、免疫チェックポイント阻害薬であるペムブロリズマブ(キイトルーダ)かプラチナ併用化学療法を行います。

肺がん薬物療法の治療トピックスでは、BRAF遺伝子陽性肺がんに対する治療やEGFR阻害薬・ALK阻害薬の耐性化(効きにくくなる事)に対する治療、免疫チェックポイント阻害薬治療の進歩についてお話頂きました。

BRAF遺伝子変異陽性肺がんの内、半分はV600E変異であり、ダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法が有効です。また、免疫チェックポイント阻害薬を含む様々なコンビネーション治療が臨床試験として行われています。

更に、肺がんはドラッグラグはなく、世界レベルの治療ができるそうです。Ⅳ期で使用でき、保険適用できる薬も多いです。近年では、遺伝子変異でパイプ分けをして薬の開発をするプレシジョン・メディシンが行われていますが、標的がないがんに対してもそれに合った抗がん剤は使用できます。

患者さんの合併症により、EGFR阻害薬が使用できないこともあります。使用に関しては、まず主治医に相談することが大切だと仰っていました。

質疑応答の時間では、多岐にわたり沢山の質問にお答え頂きました。現在メディアで取り上げられ話題となっている光免疫療法に関しては、期待過度になっている可能性もあると仰いました。

また、タバコに関しては、電子タバコではニコチンのみで発がん性物質は少ないといわれていますが、未知の段階でありWHOが調査をしているそうです。しかし、ニコチンも血管収縮作用など、結局健康被害はあることを教えて頂きました。

薬物療法を使用する順番、併用療法は副作用が増大するのか、といった質問に関しては、順番に関してはまだ分かっていないこと、副作用は増大し、副作用に対する臨床試験を行っているそうです。

当日ご聴講された方々より、「遺伝子変異とがん発症のメカニズムがよく分かった」「3時間位かけてゆっくり聞きたい、盛りだくさんの内容だった」「先生のお話が大変分かりやすく、最新トピックスも大変参考になった」「薬の併用療法や新しい治療薬が使えるようになっていることが知れて、大変参考になった」など、多くのご感想が寄せられました。

最新のキーワードを基礎から丁寧に、分かりやすく教えてくださいました。
佐々木先生、ご参加された皆様、本当にありがとうございました。

3月23日(金)は、国立がん研究センター 研究支援センター 生物統計部 部長 柴田 大朗 先生をお迎えし、『がんを理解するための統計のお話』をテーマにご講義いただきます。

会場が変更になります!「日本橋ライフサイエンスハブ8F D会議室」にて皆様のご参加をお待ちしております。

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