・ホルモン療法治療後に病勢進行したホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん患者が対象の第3相試験
・ベージニオ+フルベストラント併用療法の有効性・安全性を比較検証
・プラセボ群と比較して、死亡リスクを24.3%統計学的有意に改善
2019年9月29日、医学誌『JAMA Oncology』にてホルモン療法治療後に病勢進行したホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん患者に対するCDK4/CDK6(サイクリン依存性キナーゼ)選択的阻害薬であるアベマシクリブ(商品名ベージニオ;ベージニオ)+フルベストラント併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のMONARCH2試験(NCT02107703)の結果がStanford University School of MedicineのGeorge W. Sledge Jr氏らにより公表された。
MONARCH2試験とは、ホルモン療法治療後に病勢進行したホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん患者(N=669人)に対して、28日を1サイクルとして1日2回ベージニオ150mg+フルベストラント500mg併用療法を投与する群(N=446人)、または28日を1サイクルとしてプラセボ+フルベストラント500mg併用療法を投与する群(N=223人)に2対1の割合で振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目の主要な項目として全生存期間(OS)などを比較検証した国際多施設共同二重盲検下プラセボ対照の第3相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。
年齢中央値
ベージニオ群=59歳(32-91歳)
プラセボ群=62歳(32-87歳)
人種
ベージニオ群=アジア人 33.4%、白人 53.1%、その他 6.5%
プラセボ群=アジア人 29.1%、白人 61.0%、その他 5.8%
ECOG Performance Status
ベージニオ群=スコア0 59.2%、スコア1 39.5%
プラセボ群=スコア0 61.0%、スコア1 39.0%
ホルモン療法の直近治療歴
ベージニオ群=術前/術後化学療法時 59.0%、転移時 38.3%
プラセボ群=術前/術後化学療法時 59.6%、転移時 38.1%
アロマターゼ阻害薬の前治療歴
ベージニオ群=あり 70.9%、なし 29.1%
プラセボ群=あり 66.8%、なし 33.2%
転移部位
ベージニオ群=臓器 54.9%、骨 27.6%、その他 16.8%
プラセボ群=臓器 57.4%、骨 25.6%、その他 17.0%
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。副次評価項目の主要な項目である全生存期間(OS)中央値はベージニオ群46.7ヶ月に対してプラセボ群37.3ヶ月、ベージニオ群で死亡(OS)のリスクを24.3%(HR:0.757,95%信頼区間:0.606-0.945,P=0.01)統計学的有意に改善した。
また、サブグループ解析も実施されており、臓器転移を有する患者群における全生存期間(OS)はベージニオ群で死亡(OS)のリスクを32.5%(HR:0.657,95%信頼区間:0.511-0.891)改善、骨転移を有する患者群における全生存期間(OS)はベージニオ群で死亡(OS)のリスクを9.03%(HR:0.907,95%信頼区間:0.564-1.457)改善した。
以上のMONARCH2試験の結果よりGeorge W. Sledge Jr氏らは以下のように結論を述べている。”ホルモン療法治療後に病勢進行したホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん患者に対するCDK4/CDK6選択的阻害薬ベージニオ+フルベストラント併用療法は、プラセボ療法に比べて全生存期間(OS)を統計学的有意に改善しました。”
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