2020年5月7日、医学誌『The Lancet Oncology』にて切除可能非小細胞肺がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)+化学療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02716038)の結果がColumbia University Irving Medical CenterのCatherine A Shu氏らにより公表された。
本試験は、切除可能非小細胞肺がん患者に対する術前化学療法として21日を1サイクルとして1日目にテセントリク1200mg+1、8、15日目にナブパクリタキセル+1日目にカルボプラチン併用療法を投与し、主要評価項目として病理学的奏効率(MPR;手術時の残存腫瘍量10%以下として定義)を検証した多施設共同非盲検化第2相試験である。
本試験が開始された背景として、非小細胞肺がん患者の内、切除可能な割合は約25%程度である。この患者における標準治療は術前化学療法であるが、この治療による生存利益は高くはない。以上の背景より、非小細胞肺がんをはじめ複数の固形がんで有効性が確認されている抗PD-L1抗体薬の術前投与の有用性が本試験にて検証された。
本試験の結果、主要評価項目である病理学的奏効率(MPR)57%(95%信頼区間:37%~75%,N=17/30人)を示した。一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症50%、ALT上昇7%であった。また、重篤な有害事象(SAE)は発熱性好中球減少症3%、高血糖3%、気管支出血3%であった。
以上の第2相試験の結果よりCatherine A Shu氏らは以下のように結論を述べている。”切除可能非小細胞肺がん患者に対する術前化学療法としての抗PD-L1抗体薬であるテセントリク+ナブパクリタキセル+カルボプラチン併用療法は良好な病理学的奏効率(MPR)を示し、本患者の治療選択肢になり得る可能性が示唆されました。”
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