5月30日、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は、審議項目として6製品の審議を行い、抗がん剤関連は1製品であった。また、報告事項※として7製品を報告し、うち4製品ががん関連であった。
※報告事項:医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階において、承認して差し支えないとされ、部会では審議せず報告のみでいいと判断されたもの。
目次
審議品目
ジェセリ錠40mg(一般名:ピミテスピブ)
効能・効果:がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍(GIST)
申請企業:大鵬薬品
ジェセリは経口HSP(Heat Shock Protein)90阻害剤。HSPとは、ストレスに反応して発現量が増え、タンパク質の機能的構造の形成促進や維持を通して、細胞をストレスから守る。がん細胞や腫瘍組織にHSPが多く発現しており、がんの生存・維持に重要な役割を持つ。GISTにおいて、HSP90の発現は、がんの進行や予後と相関している。
HSPを阻害することにより、がんの増殖や生存に関与するKIT、PDGFRA、HER2、EGFRなどのたんぱくを不安定化し減少させることで抗腫瘍効果を示す。
報告品目
アバスチン点滴静注100mg/4ml、同400mg/16ml(一般名:ベバシズマブ(遺伝子組換え)
効能・効果:卵巣がん
申請企業:中外製薬
血管新生阻害薬であるアバスチンは、がん細胞が増殖する際に必要な栄養や酸素を補給ため、血管内皮増殖因子(VEGF)を出し細い血管を作ることを阻害する作用を持つ。
今回は、「他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはベバシズマブ(遺伝子組換え)として1回10mg/kg(体重)を2週間間隔または1回15mg/kg(体重)を3週間間隔で点滴静脈内注射する。なお、患者の状態により投与間隔は適宜延長すること」の新用量が追加となった。
ノイトロジン注50μg、同100μg、同250μg(一般名:レノグラスチム(遺伝子組換え))
効能・効果:再発または難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍薬との併用療法
申請企業:中外製薬
ノイトロジンは遺伝子組換えヒトG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)。同日に報告されたフルダラ静注用と併用して使えることが追加された。
グラン注射液75、同シリンジ75、同注射液150、同シリンジ150、同注射液M300、同シリンジM300(一般名:フィルグラスチム(遺伝子組換え))
効能・効果:再発または難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍薬との併用療法
申請企業:協和キリン
グランは遺伝子組換えヒトG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)。同日に報告されたフルダラ静注用と併用して使えることが追加された。
フルダラ静注用50mg(一般名:フルダラビンリン酸エステル)
効能・効果:再発または難治性の急性骨髄性白血病
申請企業:サノフィ
がん細胞が分裂する際、最初に細胞核内にある遺伝子の本体であるDNAが4つの塩基とよばれる化合物を材料にして複製される。代謝拮抗薬であるフルダラは塩基の1つであるプリン塩基と似せた構造をとっており、がん細胞のDNAが複製される際に、プリン塩基の代わりにフルダラが取り込まれると複製がうまくいかなくなり、がん細胞が死滅する。
同日に報告されたノイトロジンやグランとそれぞれ併用して使用できることが追加された。
参照元:
厚生労働省 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)
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