肺がんの大部分は喫煙との関係が強いことは広く知られている。一方で、米国の肺がんの約10〜15%は非喫煙者に発生しており、非喫煙者の肺がんは喫煙者の肺がんとは異なるドライバーミューテーション(Driver Mutation)によって引き起こされるであろうことを示唆する研究もある。そのような中、米国では非喫煙者と喫煙者の肺がんにおける共通のそして治療ターゲッティング可能な変異のプロファイルを評価するために疫学データのメタアナリシス(様々な研究結果を解析する研究)が行われた。
63,000以上の肺がん患者を反映する疫学的研究167件が特定され、非喫煙者および既喫煙者の肺がんが有する遺伝子変異(EGFR、EML4-ALK融合、KRAS)のオッズ比(割合)を計算するために使用された。この分析ではまた、組織病理学、喫煙状態、性別、および民族性の影響についても検討されている。
EGFRおよびALK-EML4変異のオッズは、ほかの非小細胞肺がんと比べ、腺がんで喫煙者と比べて非喫煙者で著しく増加した(非喫煙者の穂割合が高かった)。EGFR変異は白人および混合民族の女性と比較してアジア女性で高かった。喫煙歴が増加するにつれてEGFR変異のオッズは減少した(特に30パック・年(たとえば、1日1箱を30年喫煙する方、1日2箱を15年喫煙する方など)を超えるとEGFR変異の方の割合は減少した)。
非喫煙者は喫煙者に比べてKRAS変異のオッズが減少した。白人および混合民族では(OR = 0.22、95%CI :0.17-0.29、)、アジア人では(OR = 0.39、95%CI:0.30- 0.50)。
この研究は、非喫煙者の肺がんでは鍵となるドライバーミューテーション(Key Driver Mutation)の発現、および患者の特色が高いことを示した。これらの関係性は、患者の人口統計学的モデルとして有用であり、非小細胞肺がんの標的治療介入の成功を予測するために研究されていくであろう。
記事:加藤 テイジ
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