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進行性卵巣がん患者に対する維持療法としてのリムパーザ+アバスチン、主要評価項目の無増悪生存期間を有意に改善欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2019)より

  • [公開日]2019.11.05
  • [最終更新日]2019.11.01
この記事の3つのポイント
・新規進行性卵巣がん患者が対象の第3相試験
維持療法としてのリムパーザ+アバスチン併用療法の有効性安全性を比較検証
プラセボ併用群と比較して病勢進行または死亡のリスクを41%統計学的有意に改善した

2019年9月27日より10月1日まで、スペイン/バルセロナで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2019)にて、進行性卵巣がん患者に対する維持療法としてのPARP阻害薬であるオラパリブ(商品名リムパーザ;以下リムパーザ)+ベバシズマブ(商品名アバスチン;以下アバスチン)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のPAOLA-1/ENGOT-ov25試験(NCT02477644)の結果がCentre Léon Bérard in LyonのIsabelle L.氏らにより公表された。

PAOLA-1/ENGOT-ov25試験とは、新規に進行性卵巣がんとして診断された患者に対してアバスチン+プラチナ系抗がん剤併用療法を投与し、完全奏効(CR)または部分奏効(PR)を示した患者に対して1日2回リムパーザ300mg+3週を1サイクルとしてアバスチン15mg/kg併用療法を投与する群、またはプラセボ+3週を1サイクルとしてアバスチン15mg/kg併用療法を投与する群に2対1の割合で振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)を比較検証した第3相試験である。

本試験のフォローアップ期間22.7~24.0ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はリムパーザ群22.1ヶ月に対してプラセボ群16.6ヶ月、リムパーザ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを41%統計学的有意に改善した(HR:0.59,95%信頼区間:0.49-0.72,P<0.0001)。

また、サブグループ解析ではBRCA遺伝子変異、相同組換え修復異常(HRD)ステータス別の結果は下記の通りである。BRCA遺伝子変異陽性群における無増悪生存期間(PFS)中央値はリムパーザ群37.2ヶ月に対してプラセボ群21.7ヶ月、リムパーザ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを69%改善した(HR:0.31,95%信頼区間:0.20-0.47)。一方、BRCA遺伝子変異陰性群における無増悪生存期間(PFS)中央値はリムパーザ群18.9ヶ月に対してプラセボ群16.0ヶ月、リムパーザ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを29%改善した(HR:0.71,95%信頼区間:0.58-0.88)。

相同組換え修復異常(HRD)のある患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値はリムパーザ群37.2ヶ月に対してプラセボ群17.7ヶ月、リムパーザ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを67%改善した(HR:0.33,95%信頼区間:0.25-0.45)。一方、相同組換え修復異常(HRD)のない患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値はリムパーザ群16.9ヶ月に対してプラセボ群16.0ヶ月、リムパーザ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを8%改善した(HR:0.92,95%信頼区間:0.72-1.17)。

安全性としては、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はリムパーザ群57%に対してプラセボ群51%、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は下記の通りである。高血圧が
リムパーザ群19%に対してプラセボ群30%、貧血がリムパーザ群17%に対してプラセボ群1%未満を示した。

以上のPAOLA-1/ENGOT-ov25試験の結果よりIsabelle L.氏らは以下のように結論を述べている。”進行性卵巣がん患者に対する維持療法としてのPARP阻害薬リムパーザ+アバスチン併用療法は、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました。また、サブグループ解析ではBRCA遺伝子変異陽性、相同組換え修復異常(HRD)のある患者に対しても無増悪生存期間(PFS)を改善することが示されました。”

Breakthrough from PAOLA1 GINECO/ENgOT-ov25 trial: Adding Olaparib to Bevacizumab Maintenance Demonstrates Substantial Clinical Benefit in Newly Diagnosed Advanced Ovarian Cancer[ESMO 2019 Oncology News]

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