・再発/難治性FLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病患者が対象の第1b相試験
・ゾスパタ+ベネクレクスタ併用療法の有効性・安全性を検証
・modified複合完全寛解率75%、完全寛解率18%を示した
7月18日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて再発/難治性FLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病(AML)患者に対するFLT3阻害薬であるゾスパタ(一般名:ギルテリチニブ、以下ゾスパタ)+BCL-2阻害薬であるベネクレクスタ(一般名:ベネトクラクス、以下ベネクレクスタ)併用療法の有効性、安全性を検証した第1b相試験(NCT03625505)の結果がThe University of Texas MD Anderson Cancer CenterのNaval Daver氏らにより公表された。
本試験は、再発/難治性FLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病(AML)患者に対して1日1回ゾスパタ80mgもしくは120mg+1日1回ベネクレクスタ400mg併用療法を実施し、主要評価項目として安全性、第2相試験推奨用量(RP2D)、modified複合完全寛解率(composite complete response;完全寛解、血球の回復不完全を伴う完全寛解、血小板未回復の完全寛解、形態学的に白血病細胞がない状態(MLFS)、以下mCRc率)などを検証したオープンラベルの第1b相試験である。
本試験に登録された61人の患者背景は下記の通りである。FLT3遺伝子変異陽性の患者は56人、このうち64%(N=36/56人)にFLT3阻害薬の治療歴があった。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である第2相試験推奨用量(RP2D)は1日1回ゾスパタ120mg+1日1回ベネクレクスタ400mgとして決定された。最も多くの患者で確認されたグレード3~4の有害事象(AE)は血球減少症の80%(N=49人)であった。FLT3遺伝子変異陽性患者におけるmCRc率は75%を示し、その内訳は完全寛解率が18%、血球の回復不完全を伴う完全寛解率が4%、血小板未回復の完全寛解率が18%、形態学的に白血病細胞がない状態(MLFS)が36%であった。
本試験のフォローアップ期間中央値17.5ヶ月時点における、奏効までの期間(Time to Response)は0.9ヶ月、奏効持続期間は4.9ヶ月(95%信頼区間:3.4-6.6ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は10.0ヶ月を示した。
以上の第1b相試験の結果よりNaval Daver氏らは「再発/難治性FLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病(AML)患者に対するFLT3阻害薬ゾスパタ+BCL-2阻害薬ベネクレクスタ併用療法は、FLT3阻害薬の治療歴の有無に関わらず、高率なmodified複合完全寛解を示しました。一方で、骨髄抑制を緩和するために投与の中断が必要でした」と結論を述べている。
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