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多発性骨髄腫史上初!がん免疫療法薬エンプリシティ(エロツズマブ)が注目されるその理由

  • [公開日]2016.11.29
  • [最終更新日]2017.09.24

2016年9月9日、多発性骨髄腫の新薬エンプリシティ(エロツズマブ)の製造承認がおりました。

これまで多発性骨髄腫の治療薬としては、免疫調整薬のサレド、レナリドミド、プロテアーソム阻害薬のベルケイドが中心で、免疫療法薬は多発性骨髄腫に1つも存在しませんでした。

つまり、エンプリシティ(エロツズマブ)が多発性骨髄腫史上初のがん免疫療法の薬であるということです。

しかし、同じがん免疫療法薬といえど、夢の薬として世間を騒がせているオプジーボとエンプリシティ(エロツズマブ)は全くの別物です。その理由は、3つあります。

目次

エンプリシティ(エロツズマブ)の作用機序

1つ目は、薬の標的が異なる点です。オプジーボもエンプリシティ(エロツズマブ)も体内にもともと備わっている抗体を利用した医薬品としては共通していますが、標的となるたんぱく質が異なります。

オプジーボはPD-1ですが、エンプリシティ(エロツズマブ)はCS-1/SLAMF7という、なんだか長ったらしいたんぱく質を標的としております。

エンプリシティ(エロツズマブ)の効能効果

2つ目は、薬の適応です。当然ですが、標的が異なるので適応となる癌腫も違います。

オプジーボは悪性黒色腫、非小細胞肺癌などの細胞にできる固形癌に効果がありますが、エンプリシティ(エロツズマブ)は多発性骨髄腫という血液の癌にのみ効果があります。

エンプリシティ(エロツズマブ)の治療レジメン

3つ目は、1剤だけで済まない点です。オプジーボは単剤のみで腫瘍効果があるのに対して、エンプリシティ(エロツズマブ)は1剤では効果がありません。

そのため、薬が承認された時の要件としてレナリドミド+デキサメタゾンとの併用療法が条件に課されています。

以上のように、がん免疫療法薬と聞くと夢の薬が多発性骨髄腫にもついに登場したかと勘違いしてしまう人もいますが、エンプリシティ(エロツズマブ)はオプジーボとは全く別物のがん免疫療法薬です。

多発性骨髄腫を治療する薬の中では、これまでになかった作用機序の薬剤としては目新しく、効果も既存治療より優れます。

しかし、オプジーボ並みに既存治療をはるかに上回る成績を残したわけではありません。

つまり、同じがん免疫療法であってもパラダイムシフトを起こすがん免疫療法と、そうでないがん免疫療法があるということです。

エンプリシティ(エロツズマブ)の製品情報

製品名

エンプリシティ

一般名

エロツズマブ

作用機序

エロツズマブは骨髄腫細胞膜上のSLAMF7に結合し,Fc受容体を介したナチュラルキラー(NK)細胞との相互作用により抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導することにより,腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられる。また,エロツズマブはNK細胞発現するSLAMF7との結合によりNK細胞を直接活性化する作用を有することが報告されている。

用法用量

レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用において,通常,成人にはエロツズマブ(遺伝子組換え)として 1 回10mg/kgを点滴静注する。28日間を 1 サイクルとし,最初の 2 サイクルは 1 週間間隔で 4 回( 1 , 8 ,15,22日目), 3 サイクル以降は 2 週間間隔で 2 回( 1 ,15日目)点滴静注する。

効果効能

再発又は難治性の多発性骨髄腫

主な副作用

疲労、好中球減少、下痢、血小板減少、筋痙縮、不眠症、貧血、便秘、末梢性浮腫、高血糖、発熱、悪心、無力症

エンプリシティの最新文献

・2015年11月15日
Elotuzumab in combination with lenalidomide and dexamethasone in patients with relapsed multiple myeloma: final phase 2 results from the randomised, open-label, phase 1b–2 dose-escalation study
・2015年8月13日
Elotuzumab Therapy for Relapsed or Refractory Multiple Myeloma

エンプリシティの口コミ

医師のコメント

その他医療関係者のコメント

参照資料

1)エンプリシティ添付文書
2)The Lancet Haematology
3)NEJM

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