進行・再燃扁平非小細胞肺がんの治療成績は低く、治療選択も限られています。
ニボルマブ(商品名オプジーボ)は非小細胞肺がんに対し、高い抗腫瘍効果が期待できる免疫チェックポイントPD-1阻害薬となり、最近、一般の方々もよく耳にするようになっています。米国では、プラチナ製剤を2剤併用する治療中または治療後に転移した扁平上皮非小細胞肺がんに対し、承認を受けています。
今回、扁平非小細胞肺がんにおけるプラチナ製剤の治療歴があり、病勢が進行した患者にニボルマブを投与する群とドセタキセル(商品名タキソテール)を投与する群に割り付け、有効性と安全性を確認する第3相臨床試験(Checkmate017試験)の結果が米国・デンバーで9月6日〜9日まで開催されている世界肺癌カンファレスにて、シティー・オブ・ホープ総合がんセンターのKaren Reckamp氏によって発表されました。
272人の患者をニボルマブ 3mg/kgを2週ごと投与する群(135人)とドセタキセル 75mg/㎡ を3週ごとに投与する群(137人)に1:1で割り付けられ、病勢が進行するまでもしくは副作用や他の原因で投与困難になるまで治療が継続されました。また、ニボルマブ群の患者は、最初の病勢進行については、プロトコール基準により、投与継続が許容されています。
ポイントは以下の通り。
1.全生存期間はニボルマブ群で9.2カ月、ドセタキセル群で6.0カ月となり、ニボルマブ治療群では死亡リスクを41%減少させた(p=0.00025;統計学的にも証明された)。この値は、事前に設定したものよりはるかにニボルマブ群で良好であり、試験期間中の死亡はニボルマブ群では0人、ドセタキセル群では3人だった。
2.奏効率(一定以上がんが縮小した割合)はニボルマブ群で20%、ドセタキセル群で9%だった(p=0.0083;統計学的にも証明された)。
3.ニボルマブ投与群では28人の患者が、治療から最初の病勢進行を経験したが、治療は継続された。
4.PD-L1タンパク発現の有効性に与える影響は、事前に発現率が1%、5%、10%と設定されていたが、関係性はなく、治療の有効性のベネフィットにはならなかった。
5.グレード3・4の副作用発現は、ニボルマブ群で7%(9/131人)、ドセタキセル群で55%(71/137人)と報告された。
「本試験では、ニボルマブ群が主要評価項目である全生存期間を有意に延長し、ベネフィットはPD-L1タンパクレベルの大小に関わらず観察された。また、ニボルマブ 3mg/kg 2週ごとの投与は安全であることが確認でき、副作用はガイドラインに示されている内容で、許容できるものであった。全生存期間(OS)と安全性(副作用)のデータは、今後アップデートの形で、示すことができるだろう」とKaren Reckamp氏は締めくくっています。
記事:前原 克章