2018年1月18日より20日までアメリカ合衆国・カルフォルニア州・サンフランシスコで開催されている消化器癌シンポジウム(ASCO-GI2018)のポスターセッションにて、NTRKまたはROS1遺伝子再構成を有する転移性膵がん患者に対するエヌトレクチニブ単剤療法の安全性、有効性を検証した第II相のバスケットスタディであるSTARTRK-2試験(NCT02568267)の結果がGeorgetown University Lombardi Comprehensive Cancer Center・Michael J. Pishvaian氏らにより公表された。
STARTRK-2試験とは、NTRK1/2/3、ROS1またはALK遺伝子再構成を有する局所進行または転移性固形がん患者に対してエヌトレクチニブ600単剤療法を投与し、主要評価項目であるRECIST(v1.1)に基づく客観的奏効率(ORR)を検証した国際多施設共同オープンラベルのバスケット試験である。
なお、今回のポスターセッションでは、本試験に登録された複数の固形がんの中より膵がん患者(N=3人)を対象にした結果である。転移性膵がん患者3人のうちNTRK遺伝子再構成を有する患者は2人、ROS1遺伝子再構成を有する患者は1人であった。
本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は3人の患者すべてで臨床的改善を示した。NTRK遺伝子再構成を有する転移性膵がん患者2人は部分奏効(PR)を示し、ROS1遺伝子再構成を有する転移性膵がん患者1人は安定(SD)を示し、その奏効維持期間は6ヶ月を超えた。
以上のSTARTRK-2試験の結果よりMichael J. Pishvaian氏らは以下のように結論を述べている。”化学療法が進歩したにも関わらず、膵がんの奏効率(RR)、全生存率(OS)などは50%未満です。NTRK、ROS1のような遺伝子を標的にした治療はまだ標準ではありません。しかし、本試験で転移性膵がん患者さんに示したエントレクチニブの奏効率、病勢コントロール率の改善は、膵がんの治療成績を向上させる可能性があります。”
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