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非小細胞肺がんのオプジーボ低用量とヤーボイ併用1次治療、 腫瘍遺伝子変異量(TMB)が高レベルにおいて、病勢進行または死亡リスクを42%低減AACR2018より

  • [公開日]2018.04.18
  • [最終更新日]2018.04.18
この記事の3つのポイント
・進行非小細胞肺がんに対する1次治療として、オプジーボとヤーボイの併用を行うことは、化学療法のみよりも無増悪生存期間を有意に改善する。
PD-L1発現下において、腫瘍遺伝子変異量(TMB)が高レベルであると改善効果は見られるが、低レベルであると改善効果は見られない。
グレード3/4の治療関連副作用の発現率は、オプジーボとヤーボイ併用療法群が31%、化学療法群が36%だった。

腫瘍遺伝子変異量(TMB)が高レベルの非小細胞肺癌患者(NSCLC)に対する1次治療として、ニボルマブ(商品名オプジーボ)とイピリムマブ(商品名ヤーボイ)の併用療法は、白金系抗癌剤を含む化学療法薬2剤の併用療法に比べて有意に無増悪生存期間(PFS)を延長できることが明らかとなった。第3相臨床試験CheckMate-227(NCT02477826)の結果示されたもの。4月14日から18日までシカゴで開催されているAmerican Association for Cancer Research(AACR2018)で、米Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのMatthew Hellmann氏によって発表され、同日、医学誌The New England Journal of Medicineに掲載された。

腫瘍遺伝子変異量(TMB)高レべルとは(10変異/メガベース以上、以下「mut/Mb」) のことを指す。米Foundation Medicine社のFoundationOne CDx(診断キット)を用いて評価された。

CheckMate-227試験は、非扁平上皮癌、扁平上皮癌の組織型を含む未治療の進行NSCLC患者を対象に行われている非盲検フェーズ3試験。

パート1a、パート1b(パート1)、パート2の3つのパートから構成されている。

パート1aにおいてはPD-L1陽性患者(1%以上)を、オプジーボとヤーボイの併用療法群、オプジーボ単剤療法群、化学療法群に1対1対1に割り付けて評価した。

パート1bにおいてはPD-L1陰性患者を、オプジーボとヤーボイの併用療法群、オプジーボと化学療法の併用療法群、化学療法群に1対1対1に割り付けて評価した。

1739人が登録され、化学療法は組織型に基づいた白金系抗癌剤を含む2剤併用療法だった。EGFR変異とALK転座がある患者は除かれていた。

各投与群の用法用量は以下のとおり。

オプジーボとヤーボイ併用療法群:2週間おきにニボルマブ3mg/kg、6週間おきにイピリムマブ1mg/kgが投与された。
オプジーボ単剤療法群:2週間おきにオプジーボ240mgが投与された。
オプジーボと化学療法併用群:化学療法に加えて3週間おきにオプジーボ360mgが投与された。

パート1では、オプジーボとヤーボイ併用療法群について、2つの主要評価項目が設定されていた。1つは、PD-L1陽性患者における全生存期間OS)で、パート1aに組み入れられた患者で評価された。もう1つは、PD-L1 発現の有無にかかわらず、TMBが高レベルの患者での無増額生存期間(PFS)で、パート1a、1bに組み入れられた患者で評価された。

TMBが評価可能だった1004人のうち、TMB高レベルは44%だった。

オプジーボとヤーボイ併用療法群と化学療法群のTMBが高レベルの患者299人、低レベルの患者380人で調べたところ、どちらでもPD-L1の発現陽性は71%だった。無作為化された全体の患者とTMBが評価可能だった患者の患者背景には差がなかった。

今回は、PD-L1の発現に関わらず、パート1から、オプジーボとヤーボイ併用療法群(583人)と化学療法群(583人)に割り付けられた患者を対象にした解析、TMBが評価可能だったオプジーボとヤーボイ併用療法群(330人)と化学療法群(349人)の患者を対象にした解析の結果が発表された。

試験のデータベースは2018年1月24日時点で一旦評価、最短観察期間が11.2カ月だった。

主要評価項目の1つであるTMB高レベル患者(オプジーボとヤーボイ併用療法群が139人、化学療法群が160人)での無増悪生存期間は有意にオプジーボとヤーボイ併用療法群が良好であった。病勢進行または死亡リスクを42%減少させた(ハザード比0.58(97.5%信頼区間:0.41-0.81)、p=0.0002)。

さらに、PD-L1の発現や組織型などのサブグループで解析した場合も、オプジーボとヤーボイ併用療法群が良好であった。

一方、TMBが10mut/mb未満の患者においては、ハザード比1.07となり、化学療法群との間で差はなかった(ハザード比1.07(95%信頼区間:0.84-1.35))。

無作為化された患者全体(オプジーボとヤーボイ併用療法群が583人、化学療法群が583人)では、無増悪生存期間はオプジーボとヤーボイ併用療法群が良好であった。病勢進行または死亡リスクを17%減少させている(ハザード比は0.83(95%信頼区間:0.72-0.96))。

TMB高レベル患者における奏効率は、オプジーボとヤーボイ併用療法群が45.3%、化学療法群が26.9%、奏効期間中央値は、オプジーボと
ヤーボイ併用療法群は医学統計学上未到達(95%信頼区間:12.2-NR)、化学療法群が5.4カ月(95%信頼区間:4.2-6.9)だった。1年治療奏効率はオプジーボとヤーボイ併用療法群が68%、化学療法群が25%だった。

TMB高レベル患者における全生存期間(OS)の予備的な結果は、21%の生存メリットを示し良い傾向にあるが、今回の発表時点では、医学統計学上有意な差は認められていない。(ハザード比が0.79(95%信頼区間:0.56-1.10))、生存中央値はオプジーボとヤーボイ併用療法群が23.0カ月、化学療法群が16.4カ月、1年OS率がオプジーボとヤーボイ併用療法群が67%、化学療法群が58%と、オプジーボとヤーボイ併用療法群が良い傾向にあった。

生存期間解析に関するデータベースロックは2018年3月15日で、最短観察期間が14.2カ月。化学療法群の31.3%(増悪した患者の38.3%)は次の治療で免疫チェックポイント阻害薬の投与を受けていた。

無作為化された患者全体のうち、安全性の評価が可能だったのは、オプジーボとヤーボイ併用療法群が576人、化学療法群が570人だった。
グレード3/4の治療関連副作用の発現率は、オプジーボとヤーボイ併用療法群が31%、化学療法群が36%だった。

皮膚反応(34%)、 内分泌系(23%)、消化器系(18%)、肝臓系(15%)、肺系(8%)、過敏症(4%)、腎臓系(4%)だった。全体で、治療に関連する死亡がオプジーボとヤーボイ併用療法群および化学療法群の両群の1%で報告された。

Nivolumab plus Ipilimumab in Lung Cancer with a High Tumor Mutational Burden(NEJM, April 16, 2018, DOI: 10.1056/NEJMoa1801946)

文:前原 克章

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