NFLのクオーターバック、同性愛カップルの片割れを演ずる俳優、ユーチューバーであり、双子の一人で番組のメインキャストだった女優。一見何の繋がりもなさそうな三人が、がん研究への資金調達に一役買って出た。
※NFL選手のダック・プレスコット
ダラスカウボーイズのアメフト選手、ダック・プレスコットは母をがんで亡くし、コメディ番組「モダン・ファミリー」の男優エリック・ストーンストリートは祖父二人と叔父をがんで失い、ティア・モーリーも祖母と二人の叔父とをがんで亡くしている。ストーンストリートの祖母は3度がんになり、彼の母も2度がんにかかったが、今彼女はがんのサバイバーで生きている。
プレスコット、ストーンストリート、モーリーの三人は腫瘍免疫学を含むがんの最新研究を広く知らしめ、先に進めようと資金調達活動を大手医薬品会社のブリストル・マイヤーズ・スクイブと組んで行っている。その運動がReady,Raise,Rise(用意、調達、立ち上がれ)だ。
※俳優のエリック・ストーンストリート
運動に参加するには、ブリストル・マイヤーズ・スクイブのサイト、ReadyRaiseRise.com(https://www.immunooncology.bmsinformation.com/readyraiserise)にアクセスし、「#ReadyRaiseRise」と書いた旗のメッセージに書き込んで共有したり、腫瘍免疫学を学ぶことでポイントを集め、自分の好きながん擁護団体にポイントを与えられる。同サイトに合計で100件の旗の投稿が集まれば、Ready, Raise, Riseのチャレンジに現在参加中の(35の)擁護団体に25万ドルの寄付が入る。
現在までに、ブリストル・マイヤーズ・スクイブは、「Ready, Raise, Rise」プログラムを通じてがん患者の擁護団体グループに45万ドル以上を寄付してきた。
※女優のティア・モーリー
では、実際にReadyRaiseRise.comのサイトにアクセスしてみよう。ビデオや、腫瘍免疫学とはがんと闘うために身体の免疫システムを助けるための研究といった説明。Learn and Shareというページ(https://www.immunooncology.bmsinformation.com/readyraiserise/learn-and-share)に飛んでみると、
「腫瘍免疫学は急速に進化しているがんの研究領域であり、身体の免疫系ががんと戦うのを助けることを目指す。腫瘍免疫学研究の1分野は、各個人のがんの個人的特徴であるバイオマーカーの探索である。バイオマーカーによる腫瘍のユニークな構成を理解することは、研究者の疾患への対処に役立つ。腫瘍免疫学研究についての学習と共有は、好きながん擁護団体にポイントが入る。」といった硬い説明から、花と雑草を使って放射線治療、ケモセラピー、標的治療などとの違いを説明するイラスト絵などもあって分かり易く頭に入ってくるものもある。
また、同サイトからアメリカ国内で行われているがん関係のイベントを知ることが出来たり、縁者や友人のがん患者にeカードで送ると更にポイントが集まるなど、ユニークな仕組みでがん治療への意識を高めている。がん患者にとっては最新の研究の一端を理解できるだけではなく、一人ではないという勇気づけのメッセージも盛り込まれている。
Ready, Raise, Riseのプログラムに参加しているストーンストリートは「私は、がんに襲われるのは特別な精神が必要になることを直接知っています。母がこのひどい病気と戦っていた時、母と私は愛犬と一緒に外出して、戦うために、一緒に力を蓄えました。がんに直面して自分の強さを見つけて示すことで、他の人をも勇気付けることができます。」と、米メディアのインタビューに応えている。
誰でも参加できるReadyRaiseRise.comというサイトにアクセスし、日本からアメリカでの腫瘍免疫学を垣間見るのも悪くない。