2018年10月1日、国立研究開発法人国立がん研究センターとマルホ株式会社は、がん治療による口内炎の新規疼痛緩和薬(以下、「本化合物」)について、全世界を対象とした独占的な開発・製造・販売権に関するライセンス契約および本化合物の共同研究契約を締結したことを発表した。
抗がん剤や放射線等によるがんの治療中には、口の粘膜が赤くなり痛みがでる口内炎など、さまざまな口のトラブルが起こる。
がん治療による難治性の口内炎の痛みは、「食べる・飲む・話す」という患者さんの生活の基本行為を大きく制限してしまう副作用がある。
がん治療中の口内炎に悩む患者さんには、その疼痛緩和にリドカインのうがい等が用いられる。
リドカインは鎮痛効果を示す一方、口腔内の全ての感覚神経を遮断するため、痛みの知覚に加え、味覚・食感の知覚も抑えられ、患者さんのQOLに影響を及ぼす。
このことから、新たな疼痛緩和薬が求められている。
本化合物は、国立がん研究センター研究所がん患者病態生理研究分野が日本医療研究開発機構(AMED)創薬支援推進事業・創薬総合支援事業(創薬ブースター)の支援を受け、抗がん剤・放射線治療等による難治性口内炎の疼痛緩和薬として見出したものである。
痛みの知覚を抑えながら、味覚や食感の維持や作用時間の長期持続が、前臨床試験の結果より期待される。
今後、国立がん研究センターでは、研究所のみならず先端医療開発センター支持療法開発分野、さらに中央病院支持療法開発センターにて、本化合物の臨床応用の可能性展開のための研究開発をマルホと共同で行い、その後マルホは本化合物の治験を進め、両者協働で本化合物を有効成分とする新規疼痛緩和薬の開発を進めていく。
この度は、日本におけるがん治療および研究をリードする医療機関である国立がん研究センターと、アカデミアとの連携を企画・推進するマルホの意図が合致したことから、本契約の締結に至った。
参照元:
国立がん研究センター プレスリリース
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