2018年11月9日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて未治療の1個以上の増悪脳転移(20mm以下)を有する悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性を検証した第II相試験(NCT02085070)の結果がYale Cancer Center・Harriet M. Kluger氏らにより公表された。
本試験は、未治療の1個以上の増悪脳転移を有する悪性黒色腫(メラノーマ)患者(N=23人)に対してキイトルーダ単剤療法を投与し、主要評価項目として脳転移巣における奏効率(BrM RR)を検証した単アームの第II相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は65歳(40-84歳)。性別は男性65%(N=15人)、女性35%(N=8人)。ECOG Performance Statusはスコア0が43%(N=10人)、スコア1が57%(N=13人)。
遺伝子変異ステータスはBRAF変異41%(N=9人)、NRAS変異23%(N=5人)。前治療歴はイピリムマブが57%(N=13人)、BRAF阻害薬が17%(N=4人)。増悪脳転移に対する前治療歴はなしが22%(N=5人)、手術が52%(N=12人)、全脳照射が22%(N=5人)、定位放射線手術52%(N=12人)。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である脳転移巣における奏効率(BrM RR)は26%(95%信頼区間:10%-48%)、その内訳は完全奏効(CR)4人、部分奏効(PR)2人であった。なお、病勢安定(SD)は1人、病勢進行(PD)は8人であった。
また、その他評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は2ヶ月(95%信頼区間:2ヶ月-未到達)、全生存期間(OS)中央値は17ヶ月(95%信頼区間:10ヶ月-未到達)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード1または2の治療関連有害事象(TRAE)は運動失調22%(N=5人)、皮膚障害22%(N=5人)、掻痒22%(N=5人)、頭痛17%(N=4人)、関節痛17%(N=4人)、認知機能障害13%(N=3人)、発作13%(N=3人)、内分泌異常13%(N=3人)など。
以上の第II相試験の結果よりHarriet M. Kluger氏らは次のように結論を述べている。”脳転移を有する悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対するキイトルーダ単剤療法は忍容性があり、持続的な奏効効果を示しました。”
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