・CD19陽性再発難治性B細胞性急性リンパ芽球性白血病患者対象の第Ⅱ相のELIANA試験
・小児、若年成人の患者にキムリアを投与し、全寛解率、無再発生存率、全生存率を検証
・キムリアは全寛解率82%を示し、長期に渡っても追加治療を必要としなかった
2018年12月1日より4日まで米国・サンディエゴで開催されている第60回米国血液学会(ASH)にて、小児および若年成人のCD19陽性再発難治性B細胞性急性リンパ芽球性白血病患者に対するCAR-T細胞医療であるCTL019(tisagenlecleucel;商品名キムリア)の有効性を検証した第Ⅱ相のELIANA試験(NCT02435849)の長期フォローアップ追跡の結果がUniversity of Pennsylvania・Stephan A. Grupp氏により公表された。
ELIANA試験とは、小児および若年成人のCD19陽性再発難治性B細胞性急性リンパ芽球性白血病患者に対してCTL019(tisagenlecleucel)を投与し、主要評価項目として全寛解率(CR;完全寛解,CRi;血液の回復は不十分だが骨髄では完全寛解)、副次評価項目として無再発生存率(RFS)、全生存率(OS)を検証した第Ⅱ相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である全寛解率(CR;完全寛解,CRi;血液の回復は不十分だが骨髄では完全寛解)は82%(N=65/79,95%信頼区間:72%-90%)を示した。また、全寛解を達成した65人の内98%(N=64人)が3ヶ月以内に微小残存病変(MRD)陰性に至った。
副次評価項目である12ヶ月無再発生存率(RFS)は66%(95%信頼区間:52%-77%)、18ヶ月無再発生存率(RFS)は66%(95%信頼区間:52%-77%)。12ヶ月全生存率(OS)は76%(95%信頼区間:65%-85%)、18ヶ月無再発生存率(RFS)は70%(95%信頼区間:58%-79%)。
一方の安全性として、15%以上の患者で確認されたグレード3/4の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症、低酸素症、低血圧、サイトカイン放出症候群(CRS)などであった。なお、グレード3/4のサイトカイン放出症候群(CRS)は48%の患者で発症し、その内39%の患者でトシリズマブ(商品名アクテムラ)による治療を受けた。
ELIANA試験の長期フォローアップ追跡の結果より、Stephan A. Grupp氏は以下のように結論を述べている。“小児および若年成人のCD19陽性再発難治性B細胞性急性リンパ芽球性白血病患者に対するCTL019(tisagenlecleucel)は全寛解率82%を示し、長期に渡っても追加の治療を必要としませんでした。”
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