・HER2陽性の再発転移唾液腺がん患者が対象の第2相試験
・ハーセプチン+ドセタキセル併用療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は60.0%、病勢制御は93.3%を示した
2019年3月29日より4月3日まで米国・アトランタで開催された第110回米国がん学会議(AACR2019)にてHER2陽性の再発転移唾液腺がん患者に対する抗HER2モノクローナル抗体薬であるトラスツズマブ(商品名ハーセプチン;以下ハーセプチン)+ドセタキセル併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(UMIN000009437)の結果が北海道大学病院・腫瘍内科の木下一郎氏らにより公表された。
本試験は、HER2陽性の再発転移唾液腺がん患者に対して3週を1サイクルとしてハーセプチン6mg/kg(初回は8mg/kg)+ドセタキセル70mg/m2併用療法を最大8サイクル投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、安全性、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した単群非ランダム化オープンラベルの第2相試験である。
本試験の評価可能であった15人の患者群における結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は60.0%(95%信頼区間:32.2-83.7%,N=9人)を示した。なお、9人の患者の内1人の患者で完全奏効(CR)を示した。また、病勢制御率(DCR)は93.3%(95%信頼区間:68.1-99.8%)を示した。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は8.5ヶ月(95%信頼区間:6.0-12.7ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は未到達であった。
一方の安全性として、多くの患者で確認されたグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症100%、白血球減少症93.8%、リンパ球減少症13.8%、発熱性好中球減少症12.5%であった。なお、治療関連有害事象(TRAE)により死亡に至った患者は1人であり、その原因は低アルブミン血症であった。
以上の第2相試験の結果より木下一郎氏らは以下のように結論を述べている。”唾液腺導管がん患者の約40%程の患者でHER2陽性は確認されます。本試験により抗HER2モノクローナル抗体薬ハーセプチン+ドセタキセル併用療法の抗腫瘍効果が確認されましたので、今後は唾液腺がん全体でHER2陽性のスクリーニングを実施していくことも検証する必要があるでしょう。”
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