■この記事のポイント
・未承認薬検討会議は、直腸がんに対する術後補助化学療法としてゼローダの公知申請の妥当性を判断。
・これにより臨床試験を実施しなくとも、承認申請が可能に。
・日本臨床腫瘍学会が、海外の論文結果やガイドラインを踏まえ要望していた。
2月3日、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」は、公知申請の妥当性を検討、がん分野からは「カペシタビン(商品名:ゼローダ)の公知申請が妥当と判断しました。追加される適応は「直腸がんにおける補助化学療法」となります。
公知申請とは、承認済医薬品の適応外処方について科学的根拠に基づいて医学薬学上公知であると認められる場合に、臨床試験の全部又は一部を新たに実施することなく効能又は効果等の承認が可能となる制度となります。海外において、既に効能効果等が承認されており、使用実績多い場合や国際的に信頼できる学術雑誌に掲載された科学的科学的根拠となり得る論文等がある場合などに適応となります。
今回、日本臨床腫瘍学会が公知申請を要望しており、公表論文や診療ガイドラインへの記載状況から一定の有用性が期待でき、既承認の効能・効果での使用状況より安全性に関する一定の情報が蓄積されていることより評価したとのことです。
現状の適応は「結腸がんにおける術後補助化学療法」と「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」でしたが、これに「直腸がんにおける補助化学療法」が加わる予定です。
その他、「家族性地中海熱」に対するコルヒチン、「臓器移植(造血幹細胞移植を除く)におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制」に対するバルガンシクロビルについても妥当性を判断しました。
上記3剤について、新たに適応が追加される予定です。
このほか検討会議は、以下の薬剤についても公知申請の必要性が高いと判断しています。
・オランザピン(抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状〈悪心嘔吐〉)
・三酸化ヒ素(未治療の急性前骨髄球性白血病)
・リポソーム化シタラビン(悪性リンパ腫に伴う髄膜播種)
記事:可知 健太