・進行性膵腺がん患者が対象の第3相試験
・イムブルビカ+ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法の有効性・安全性を検証
・無増悪生存期間、全生存期間をともに統計学的有意に改善せず
2019年7月3~6日までスペイン・バルセロナで開催されたthe ESMO World Congress on Gastrointestinal Cancer 2019(WCGC 2019)にて、進行性膵腺がん患者に対するファーストライン治療としてのブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるイブルチニブ(商品名イムブルビカ;以下イムブルビカ)+ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のRESOLVE/PCYC-1137試験(NCT02436668)の結果がUniversity of California San franciscoのMargaret A. Tempero氏らにより公表された。
RESOLVE/PCYC-1137試験とは、進行性膵腺がん患者に対してイムブルビカ+ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法を投与する群(N=211人)、またはプラセボ+ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法を投与する群(N=213人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、安全性などを比較検証した二重盲検下多施設共同ランダム化の第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はイムブルビカ群5.32ヶ月に対してプラセボ群6.01ヶ月、イムブルビカ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを56.4%統計学的有意に増加した(ハザード比:1.564,95%信頼区間:1.277-1.916,P=0.0001)。
また、もう1つの主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はイムブルビカ群9.69ヶ月に対してプラセボ群10.78ヶ月、イムブルビカ群で死亡(OS)のリスクを10.9%増加した(ハザード比:1.109,95%信頼区間:0.903-1.363,P=0.3225)。副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はイブルチニブ群29%に対してプラセボ群42%、イブルチニブ群で統計学的有意に低率であった(p=0.0058)。
以上のRESOLVE/PCYC-1137試験の結果よりMargaret A. Tempero氏らは以下のように結論を述べている。”進行性膵腺がん患者に対するファーストライン治療としてのブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イムブルビカ+ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法は、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)ともに統計学的有意に改善しませんでした。”
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